胴震どうぶる)” の例文
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『さては竜神りゅうじんの御出ましか。』と、嬉しいともつかず、恐しいともつかず、ただぶるぶる胴震どうぶるいをしながら、川魚の荷をそこへ置くなり、ぬき足にそっと忍び寄ると、采女柳につかまって
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この一語、さすがの机竜之助をして胴震どうぶるいをさせるほどに驚かせました。
が、さむさはさむし、こたつのあなみづたまりをて、胴震どうぶるひをして、ちひさくなつてかしこまつた。夜具やぐ背負しよはして町内ちやうないをまはらせられないばかりであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金蔵は声と共に胴震どうぶるいをはじめました。人相の悪いのは平気なもので
妻子眷属さいしけんぞく一時いっときにどしどしとえて、人はただ天狗てんぐが山を飲むような、と舌を巻いたでありまするが、かげじゃ——その——くわつえ胴震どうぶるいの一件をな、はははは、こちとら、その
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
のりあたらしい浴衣ゆかた着換きかへて——くだん胴震どうぶるひをしながら——廊下らうかた。が、する/\とむかうへ、帳場ちやうばはうへ、はるかけて女中ぢよちうながら、かれ欄干てすりつて猶豫ためらつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かく近づいた跫音あしおとは、くだんの紫の傘を小楯こだてに、土手へかけて悠然ゆうぜんおぼろげに投げた、えんにしてすごはかまに、小波さざなみ寄するかすかな響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震どうぶるいをして、立直たちなおって
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)