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ろくまく
ふりがな文庫
“
肋膜
(
ろくまく
)” の例文
彼女は其の頃
肋膜
(
ろくまく
)
を少し痛めているらしかったが山に居る間はどうやら大した事にもならなかった。彼女の作画はこの時始めて見た。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
「私の健康。そんなものが何んでせう。私の
肋膜
(
ろくまく
)
は毎日うづきます。いつそ腐つてどろどろになつたら、それでいいでせう。それで。」
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
彼女は僕が会社で自分の配下につかっていた助手の妹で、彼が
肋膜
(
ろくまく
)
を
患
(
わずら
)
って寝たとき、
欠勤
(
けっきん
)
の断りに僕を訪ねて来たことがあった。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勇助自身は自分の病気を
肋膜
(
ろくまく
)
の
痼疾
(
こしつ
)
だと云っていたが、そんなことを彼が自分でも信じていないくらいは、誰にも理解することができた。
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
第二回目は
肋膜
(
ろくまく
)
で、京橋の福田病院と赤十字病院に、両方で約五十日ばかりいた。この時には、今村先生は五六百円程払って下さった
筈
(
はず
)
だ。
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
殊
(
こと
)
に右の
腋
(
わき
)
の下が
疼
(
うず
)
いて、
肋膜
(
ろくまく
)
にでもなるのではないかと云う不安を感じたが、好い
塩梅
(
あんばい
)
にそれも数日間で直ってしまった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
清瀬
(
きよせ
)
村の病院へ行くと、
肋膜
(
ろくまく
)
の骨を切って直すとか、やってるそうですが、そんなことをなさっても駄目ですかね?」
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
兄は長いあひだ
委
(
まか
)
されてゐた礦山をおりて、こゝで静かに老後を過してゐた。勉学に
耽
(
ふけ
)
りすぎて、
肋膜
(
ろくまく
)
をわづらつた上の孫は、もう十九であつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
葛巻はカリエスで
肋膜
(
ろくまく
)
が悪くそのレントゲン写真を僕がひっくり返って眺めていると彼は
頬杖
(
ほおづえ
)
をついて、どう? なんだか厭でしょうとニヤリと笑う。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
肋膜
(
ろくまく
)
が治り次第、早く、あの・空中に何時も緑金の微粒子が光り震えているような・輝かしい島へ帰りたい。文明世界の大都市の中では窒息しそうだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その上
今日
(
こんにち
)
は今までとは違い、他の医者に
診
(
み
)
てもらい候うところ、
肋膜
(
ろくまく
)
はうまくなおった、
盲腸
(
もうちょう
)
もなんともない、ただ
肺尖
(
はいせん
)
が少し悪い、養生しろと申され候う。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
以前京都にいた頃は毎年のようにこの季節に
肋膜
(
ろくまく
)
を悪くしたのですが、
此方
(
こちら
)
へ来てからはそんなことはなくなりました。一つは酒類を飲まなくなったせいかも知れません。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
徐はしかし、身体が弱くて、よく病気をするので、その後郷里へ帰ったが、私達の入獄した最初の冬の頃、何でも
肋膜
(
ろくまく
)
か何かで
京城
(
けいじょう
)
の病院で死んだという知らせがあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「はい一度お
閑
(
ひま
)
の節に
女房
(
かない
)
の御診察をお願ひ致したいと存じまして……」その男は円い眼を忙しさうに瞬きした。「こなひだぢゆうから
肋膜
(
ろくまく
)
を
煩
(
わづら
)
ひまして、方々の先生方に……」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一九一三年の春は
肋膜
(
ろくまく
)
を病んだ。そのとき「もう五年生きていたいのだが」と云った。
レーリー卿(Lord Rayleigh)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
肋膜
(
ろくまく
)
、肺炎、腹膜炎、神経痛、胸の病、腹、手足の病気、重い、軽い、それに応じて、施術の法があって、近頃は医法の科学的にも、灸点を認めているのやが、その医法をも超越して
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄は弟が小さい時感冒から
肋膜
(
ろくまく
)
の気になつたのを覚えてゐて、それを
気遣
(
きづか
)
つたものゝ、もつと大きな原因は、この兄弟は生まれつき肉体の露出については不思議な
羞恥
(
しゅうち
)
の本能を持つてゐた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
医者から
肋膜
(
ろくまく
)
の疑いがあると言われて、家でぶらぶら遊んで暮しているうちに、ことしの受験期も過ぎてしまって、僕はその
頃
(
ころ
)
から、上級の学校へ行く気も無くなり、そんならどうするのか
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
其処
(
そこ
)
へ、監督が身体をワクワクふるわせている雑夫を後からグイ、グイ突きながら、押して来た。寒い雨に
濡
(
ぬ
)
れながら仕事をさせられたために、その雑夫は風邪をひき、それから
肋膜
(
ろくまく
)
を悪くしていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
今でも例の
肋膜
(
ろくまく
)
が、冬になると少しその
気
(
け
)
が出るんですよ
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「どうも
肋膜
(
ろくまく
)
らしいっていうんだがね」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肋膜
(
ろくまく
)
のわづらひに
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼女は其の頃
肋膜
(
ろくまく
)
を少し痛めてゐるらしかつたが山に居る間はどうやら大した事にもならなかつた。彼女の作画はこの時始めて見た。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
以前に患った
肋膜
(
ろくまく
)
の再発だと、医者はいうのですが、ただ再発だけなら、親もそれほどは驚かなかったかも知れません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
膿が腸と
癒着
(
ゆちゃく
)
した箇所が破れてくれるとよいけれども、
肋膜
(
ろくまく
)
や、気管や、腹膜の方へ破れると、大抵助からない。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
寒藤先生の心臓は十八歳の少年のようにふくれあがり、かつ激しく
肋膜
(
ろくまく
)
の裏を乱打した。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私はといえば、実は、横浜へ上陸するや否や、たちまち寒さにやられて風邪をひき、それがこじれて
肋膜
(
ろくまく
)
になってしまったのである。再び彼の地の役所に戻ることは、到底
覚束無
(
おぼつかな
)
い。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
中学時代にも
肋膜
(
ろくまく
)
で、一年ばかり本家の別荘で静養したこともあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は生来病弱で、
肋膜
(
ろくまく
)
、それから、カリエス、彼の青春は病気と親しむことだつた。病気の代りに素子と親しむやうになつても、病気が肉体の一部であるやうに、素子は肉体の一部にはならなかつた。
女体
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
その上
肋膜
(
ろくまく
)
を病んで以来しばしば
病臥
(
びようが
)
を余儀なくされ、後年郷里の家君を
亡
(
うしな
)
ひ、つづいて実家の破産に
瀕
(
ひん
)
するにあひ、心痛苦慮は一通りでなかつた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
わざと
肋膜
(
ろくまく
)
だといって
脅
(
おど
)
かし、
家
(
うち
)
の都合でここで安静にしているのだと話したのだったが、しばらく姿を現わさないところを見ると、それを真に受け、
怖
(
おそ
)
れて近づかないのかしらなぞと思っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
卒業後
肋膜
(
ろくまく
)
にいつも故障があり、私と結婚してから数年のうちに遂に湿性肋膜炎の重症のにかかって入院し、幸に全治したが、その後或る練習所で乗馬の
稽古
(
けいこ
)
を始めた所
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
芸術精進と家庭生活との板ばさみとなるような月日も
漸
(
ようや
)
く多くなり、其上
肋膜
(
ろくまく
)
を病んで以来しばしば
病臥
(
びょうが
)
を余儀なくされ、後年郷里の家君を
亡
(
うしな
)
い、つづいて実家の破産に
瀕
(
ひん
)
するにあい
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
肋
漢検準1級
部首:⾁
6画
膜
常用漢字
中学
部首:⾁
14画
“肋膜”で始まる語句
肋膜炎