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綾羅
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りようら
武者ぶり
着いて、これを
詰るに、
妻、
綾羅にだも
堪へざる
状して、
些とも
知らずと
云ふ。
又實に
知らざるが
如くなりけり。
聞けば
聖書を
糧にする
道徳家が二十五銭の
指環を
奮発しての「ヱンゲージメント」、
綾羅錦繍の
姫様が
玄関番の
筆助君にやいの/\を
極め
込んだ
果の「ヱロープメント」
綾羅の袂ゆたかに
飜るは花に休める
女蝶の翼か、
蓮歩の
節急なるは
蜻蛉の水に點ずるに似たり。折らば落ちん萩の露、
拾はば消えん
玉篠の、あはれにも亦
婉やかなる其の姿。
其方を
眺めて
佇立めば、
風に
傳たはる
朗詠の
聲いとゞ
床しさの
數を
添へぬ
糸子世は
果敢なきものと
思ひ
捨てゝ、
盛りの
身に
紅白粉よそほはず、
金釵綾羅なんの
爲の
飾り、
入らぬことぞと
顧みもせず
でも、こゝには、
金銀如山、
綾羅、
錦繍、
嘉肴、
珍菓、あり
餘つて、
尚ほ、
足りないものは、お
使者の
鬼が
手を
敲くと
整へるんです、それに
不足はありません。