組違くみちが)” の例文
さて通口かよひぐち組違くみちがへて、かどのない千兩箱せんりやうばこ積重つみかさねた留桶とめをけを、片手掴かたてづかみで、水船みづぶねから掬出くみだしては、つかり加減かげんところねらつて十杯じつぱいばかり立續たてつゞけにざぶ/\とちまける。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
枕も髪も影になって、蒸暑さにくつ脱ぎながら、行儀よく組違くみちがえた、すんなりと伸びた浴衣の裾をれて、しっとりと置いた姉の白々とした足ばかりがの加減に浮いて見える。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名にし栃木峠とちのきとうげよ! ふもとから一日がかり、のぼるに従ひ、はじめは谷に其のこずえ、やがては崖に枝組違くみちがへ、次第に峠に近づくほど、左右から空を包むで、一時ひとしきりみち真暗まっくらよると成つた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いつか四谷よつやだうとびらをのぞいて、眞暗まつくらなか閻王えんわうまなこかゞやくとともに、本所ほんじよ足洗屋敷あしあらひやしきおもはせる、天井てんじやうから奪衣だつえ大婆おほばゞ組違くみちがへたあしと、眞俯向まうつむけににらんだ逆白髮さかしらが恐怖おそれをなした
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
往来傍おうらいばたにはまた岸に臨んで、はてしなく組違くみちがえた材木が並べてあるが、二十三十ずつ、四ツ目なりに、井筒形いづつがたに、規律正しく、一定した距離を置いて、何処どこまでも続いて居る、四ツ目の間を、井筒の彼方かなた
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
往來傍わうらいばたにはまたきしのぞむで、はてしなく組違くみちがへた材木ざいもくならべてあるが、二十三十づゝ、目形めなりに、井筒形ゐづつがたに、規律きりつたゞしく、一定いつていした距離きよりいて、何處どこまでもつゞいてる、あひだを、井筒ゐづつ彼方かなた
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)