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素寒貧
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すかんぴん
ふりがな文庫
“
素寒貧
(
すかんぴん
)” の例文
極言すれば、彼等の窮極の目的は、会社の運命がどうなろうと、
搾取者
(
さくしゅしゃ
)
宮崎常右衛門を、彼等同然の一
素寒貧
(
すかんぴん
)
に引落すことであった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかしその効能はおそろしいもので、
素寒貧
(
すかんぴん
)
の書生は十年ならずして
谷文晁
(
たにぶんちょう
)
が
写山楼
(
しゃざんろう
)
もよろしくという邸宅の主人になりました。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貧乏のうちは、持って生まれた感情の高潔さというものを保っておられるが、
素寒貧
(
すかんぴん
)
となると、誰だってそうはいきませんて。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
今柳橋で美人に拝まれる月も昔は「入るべき山もなし」、
極
(
ごく
)
の
素寒貧
(
すかんぴん
)
であッた。実に今は住む百万の
蒼生草
(
あおひとぐさ
)
,実に昔は生えていた億万の
生草
(
なまくさ
)
。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
新聞記者などが大臣を
誹
(
そし
)
るを見て「いくら新聞屋が
法螺
(
ほら
)
吹いたとて、大臣は
親任官
(
しんにんかん
)
、新聞屋は
素寒貧
(
すかんぴん
)
、月と
泥鼈
(
すっぽん
)
ほどの違ひだ」などと
罵
(
ののし
)
り申候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
素寒貧
(
すかんぴん
)
でゐるよりも、
生活
(
くらし
)
が豊かでゐた方が、租税もよく納めるし、乞食にもよく施しをするものだといふ事を発見した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
明日は
忽
(
たちま
)
ち
素寒貧
(
すかんぴん
)
になると云う風なので、父子爵も、あれにはいくら金を遣っても
無駄
(
むだ
)
だと云っており、その点では
頗
(
すこぶ
)
る信用がないのだと云う。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのひとが、世間も何も知らずに、吉益老の仲人口を信じて、
素寒貧
(
すかんぴん
)
の父へ嫁いできた事情には、どうも母の云い分の方が本当らしいものがある。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
素寒貧
(
すかんぴん
)
姿を見上げ見下ろされては、
腸
(
はらわた
)
のドン底まで
見透
(
みす
)
かされざるを得ない。純色透明にならざるを得ない。吾輩は黙って一つ大きくうなずいた。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
悲しい
哉
(
かな
)
、命なる哉、私はルンペン同様な
素寒貧
(
すかんぴん
)
であれば、どうも幾らとつおいつ考えて見ても、とても一生のうちにそれを実行する事は思いも寄らない。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「それは惜しいもんだね。
素寒貧
(
すかんぴん
)
の僕じゃ仕方ないが、武男君、どうだ、一肩ぬいで見ちゃア」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
(
地女
(
じおんな
)
を振りも返らぬ
一盛
(
ひとさかり
)
。)そいつは
金子
(
かね
)
を使ったでしょうが、こっちは
素寒貧
(
すかんぴん
)
で志を女郎に立てて、投げられようが、振られようが、
赭熊
(
しゃぐま
)
と
取組
(
とっく
)
む
山童
(
やまわろ
)
の勢いですから
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
素寒貧
(
すかんぴん
)
のその日暮しだ。役に立ちやしないんだ。けれども、小生と
雖
(
いえど
)
も、貴兄の幸福な結婚を望んでいる事に於いては人後に落ちないつもりだ。なんでも言いつけてくれ給え。
佳日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そう毎晩、毎晩、首根っこの白い
姐
(
ねえ
)
やと酒じゃあ、帰りの五十三次が十次も来ねえうちに、
素寒貧
(
すかんぴん
)
になるのあ知れきってるって——やい、すると手めえは、何と
吐
(
ぬ
)
かしゃがった。
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
素寒貧
(
すかんぴん
)
公爵は、いつもおれに勘定を払はせたが、ハルビンのいい案内人でもあつたよ。
放浪者
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
娘には婿をもろうて店を継がせようとしたが「お前見たいな
素寒貧
(
すかんぴん
)
について」
山谿に生くる人々:――生きる為に――
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
深沢深は名代の
素寒貧
(
すかんぴん
)
で、アパートの四畳半に、七輪一つ枕一つの生活をしている有様ですから、急には結婚する費用もなく、結婚したところで、恋女房に食わせる当ても無かったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新聞記者などが大臣を
誹
(
そし
)
るを見て「いくら新聞屋が
法螺
(
ほら
)
吹いたとて、大臣は親任官、新聞屋は
素寒貧
(
すかんぴん
)
、月と
泥亀
(
すっぽん
)
ほどの違いだ」などと
罵
(
ののし
)
り
申
(
もうし
)
候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
つまり、
素寒貧
(
すかんぴん
)
だった僕が、一人前の男になれるという訳です。日頃殆ど無心も聞いてくれなかった頑固親爺ですが、やっぱり伯父さんというものは有難いですね
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「近ごろなら、先生、まだいいんですがね、もう一年以上も、取られっ放しの、
素寒貧
(
すかんぴん
)
つづきですよ。魚をとったぐらいじゃ、いくらとったって、間にあわねえ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところがドミトリイ・フョードロヴィッチが
素寒貧
(
すかんぴん
)
でありながら、しかも、一流の伯爵の息子に決闘を申しこんだとすれば、その若様は、のこのこ出かけて行くに相違ないんですよ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「うふっ。相変わらず口がうまいよ。もうこりごり。よりをもどそうの何のと、味なことはいわないでおくれよ、あたしみたいな
素寒貧
(
すかんぴん
)
の女を相手にしちゃあ、磯五様の
估券
(
こけん
)
にかかるじゃあないか」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それに妙子さんは
由緒
(
ゆいしょ
)
正しい大資産家の愛嬢だ。お前の様な
素寒貧
(
すかんぴん
)
の浪人者に、どう手が届くものか。サア、早く今の内に、あの人の
側
(
そば
)
から遠ざかってしまうがいい
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが婆さん、この
截江鬼
(
せっこうき
)
の
張旺
(
ちょうおう
)
だって、いつもそうそう、
素寒貧
(
すかんぴん
)
じゃねえんだぜ。巧奴にも言っといてくれ。これだけあったら当分は通いづめでも
費
(
つか
)
いきれめえッて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから
素寒貧
(
すかんぴん
)
でいながらも、気宇だけはまあ今のリアルな青年よりは豊かだった。そしてどうやらささやかな家を一軒持って、両親と一緒に暮せるようになったのが二十五歳前後でした。
親鸞の水脈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作者申す、右の
外
(
ほか
)
十数名の顕官、富豪、最高爵位の人々、元老⦅明智丈けは例外の
素寒貧
(
すかんぴん
)
⦆などの名前が列記してあったのだけれど、
管々
(
くだくだ
)
しければ凡て略し、名前の下に番号の打ってある六名丈けを
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一兵一
矢
(
し
)
の蓄えもなく、居候をしている
素寒貧
(
すかんぴん
)
の
若公卿
(
わかくげ
)
には、どんな過激な議論も吐けようけれど、重喜には、
譜代
(
ふだい
)
の臣、阿波二十五万石の
足枷
(
あしかせ
)
がある。そう、滅多に動けたものではない。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怒るかと思いのほか、その時、曹操という
素寒貧
(
すかんぴん
)
の一青年は
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“素寒貧”の意味
《名詞》
貧しく身に何も持たないこと。無一文。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
寒
常用漢字
小3
部首:⼧
12画
貧
常用漢字
小5
部首:⾙
11画
“素寒貧”で始まる語句
素寒貧村