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とつこつ
ふりがな文庫
“
突兀
(
とつこつ
)” の例文
新クレムリン宮殿は、
突兀
(
とつこつ
)
たる氷山の如く
擬装
(
ぎそう
)
されてあった。中ではペチカがしきりに燃えていて、どの
室
(
へや
)
も、頭の痛くなるほど
饐
(
す
)
えくさかった。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
天が下には隠家もなくなつて、今
現身
(
げんしん
)
の英傑は我が目前
咫尺
(
しせき
)
の処に
突兀
(
とつこつ
)
として立ち給ふたのである。自分も立ち上つた。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
能方
(
のうかた
)
川を渡り岩はな堤を経て小竹堤を行く。望ところ連山
垣墻
(
ゑんしやう
)
のごとく東南に
突兀
(
とつこつ
)
たる山あり。
香春山
(
かはらやま
)
といふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼はすでに
突兀
(
とつこつ
)
たる巌石を肩に支えながら、みずらの髪を
額
(
ひたい
)
に乱して、あたかも
大地
(
だいち
)
を
裂
(
さ
)
いて出た
土雷
(
つちいかずち
)
の神のごとく、河原に
横
(
よこた
)
わる乱石の中に雄々しくも立ち上っていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雀宮ヲ過ルヤ
晃峰
(
こうほう
)
ヲ
乾位
(
けんい
)
ニ望ム。
突兀
(
とつこつ
)
トシテ半空ニ
聳
(
そび
)
ユ。諸山ソノ
麓
(
ふもと
)
ヲ擁シ
扶輿磅礴
(
ふよほうはく
)
タルコトソノ幾十里ナルヲ知ラズ。時ニ
晩霽
(
ばんせい
)
。夕陽
明媚
(
めいび
)
。山色
尽
(
ことごと
)
ク紫ナリ。
昏暮
(
こんぼ
)
宇都宮ニ投ズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
しかし、すぐに滝人は次の言葉をついで、小法師岳の
突兀
(
とつこつ
)
とした岩容を振り仰いだ。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
家の前方には、牧場や木の茂った長い斜面が広がり、
突兀
(
とつこつ
)
たる岩が
屹立
(
きつりつ
)
し、曲がりくねった
樅
(
もみ
)
が
崖
(
がけ
)
にしがみつき、大きく腕を広げた
橅
(
ぶな
)
が後ろに倒れかかっていた。空はどんよりしていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
此処から初めて利根川が幽谷の間に白練を
布
(
し
)
けるが如く流れているのを下瞰し、其奥に大利根岳の
突兀
(
とつこつ
)
天に朝するを望み、水源探検の目的殆ど
爰
(
ここ
)
に終れりとし、再び水長沢に下りて
之
(
これ
)
を遡り
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
見んとして見えず何となく氣
壯
(
さか
)
んになりて身に膓胃ある事を忘れたり
此山路
(
このやまぢ
)
秋は左こそと青葉を
紅
(
くれなゐ
)
に默想し雪はいかにと又萬山を枯し盡して忽ち
突兀
(
とつこつ
)
天際に聳ゆる
銀
(
しろがね
)
の山を瞑思すつひに身ある事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
山勢
(
さんせい
)
殆
(
ほと
)
んど直立、
加
(
くわ
)
ふるに
突兀
(
とつこつ
)
たる
危岩
(
きがん
)
路に
横
(
よこた
)
はるに非れば、
佶倔
(
きつくつ
)
たる石南樹の
躰
(
たい
)
を
遮
(
さへぎ
)
るあり、
若
(
も
)
し一たび
足
(
あし
)
を
誤
(
あやま
)
らんか、一
転
(
てん
)
忽ち
深谷
(
しんこく
)
に
落
(
お
)
つるを以て、一行の両眼は
常
(
つね
)
に
注
(
そそ
)
ぎて頭上の
山頂
(
さんてう
)
にあり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
突兀
(
とつこつ
)
として
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
危岩
突兀
(
とつこつ
)
勢
将
(
まさ
)
に頭上に
落
(
お
)
ちんとす、進退
維
(
こ
)
れ
谷
(
たに
)
まり
敢
(
あへ
)
て良策を
案
(
あん
)
するものなく、一行叢中に
踞坐
(
こざ
)
して又一語なし、余等口を
開
(
ひら
)
きて曰く、
進
(
すす
)
むも
難
(
かた
)
く
退
(
しりぞ
)
くも亦
難
(
かた
)
し、難は一なり
寧
(
むし
)
ろ
進
(
すす
)
んで
苦
(
くるし
)
まんのみと
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
兀
漢検1級
部首:⼉
3画
“突兀”で始まる語句
突兀万仞
突兀峨々