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石崖
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いしがけ
ふりがな文庫
“
石崖
(
いしがけ
)” の例文
そして晝間でも御殿の下の日当りのよい
石崖
(
いしがけ
)
に
倚
(
よ
)
りかゝって、晴れた秋の空を見上げながら
独
(
ひと
)
りぼんやりと幻を
趁
(
お
)
いかけたりした。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これはいかにも、
時宜的
(
タイムリイ
)
な助言であった。人夫は屍体を竿にかけたまま、橋桁から
石崖
(
いしがけ
)
の方へ渡り、石段の方へ、水中の屍体を引いて来た。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こう云う小屋の間を縫って、
飽
(
あ
)
きずに
上
(
のぼ
)
って行くと、今度は
石崖
(
いしがけ
)
の下に細長い横幅ばかりの長屋が見える。そうして、その長屋がたくさんある。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はこの
石崖
(
いしがけ
)
こそは自然のビルディングだと思ったから、私は早速彼らをこの石崖へ
撒
(
ま
)
き散らしてしまったのであった。二、三十匹は確かにいたはずだ。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
丸
(
まる
)
の
内
(
うち
)
の街路の
鈴懸
(
すずかけ
)
の樹のこの惨状を実見したあとで帝劇へ行って二階の休憩室の窓からお
堀
(
ほり
)
の向こう側の
石崖
(
いしがけ
)
の上に並んだ黒松をながめてびっくりした。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
ああ、その水の声のなつかしさ、つぶやくように、すねるように、舌うつように、草の汁をしぼった青い水は、日も夜も同じように、両岸の
石崖
(
いしがけ
)
を洗ってゆく。
大川の水
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
新宿の
旭町
(
あさひまち
)
の木賃宿へ泊った。
石崖
(
いしがけ
)
の下の雪どけで、道が
餡
(
あん
)
このようにこねこねしている通りの旅人宿に、一泊三十銭で私は泥のような体を横たえることが出来た。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そこで、
石崖
(
いしがけ
)
に薄い材木を並べ、それで屋根のかわりとし、その下へ私達は這入り込んだ。この狭苦しい場所で、二十四時間あまり、私達六名は暮したのであった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
この時自分は、浜の
堤
(
つつみ
)
の両側に背丈よりも高い
枯薄
(
かれすすき
)
が
透間
(
すきま
)
もなく生え続いた中を行く。浪がひたひたと
石崖
(
いしがけ
)
に当る。ほど経て横手からお長が白馬を曳いて上ってきた。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
水際の
石崖
(
いしがけ
)
に腰を
下
(
おろ
)
すと、涼しくて、そして悲しい様な河風が
頬
(
ほ
)
を吹く。十分二十分と経つ
中
(
うち
)
に
河岸
(
かし
)
の上の人数が次第に殖え、自分達の場所を目掛けて降りて来る人も多くなつて
行
(
ゆ
)
く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一つは有名な大谷観音で、これは
石崖
(
いしがけ
)
に彫りつけた大きな仏像で、出来がなかなか立派である。前述の如く弘仁期の作。石はもとより大谷石。軟質であるがよく風雨に堪え今日に及んだ。
野州の石屋根
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
三人は、また、四本の足をもって、
馬蹄形
(
ばていがた
)
の海岸の
石崖
(
いしがけ
)
の端を、とぼとぼと拾い歩きして行った。そうして、藤原は
丈
(
たけ
)
が高かったにしても、雪は二尺から積もっていた。踏まれた道は狭かった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
くだくだしい描写は
省
(
はぶ
)
くことに致しますが、その窓は隅田川に面していて、外は殆ど
軒下
(
のきした
)
程の空地もなく、すぐ例の表側と同じコンクリート塀に囲まれ、塀は直ちに余程高い
石崖
(
いしがけ
)
に続いています。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
高い
石崖
(
いしがけ
)
の
縁
(
ふち
)
すれすれに建っていて、縁側にいると体が崖の外へ
食
(
は
)
み出しそうな、落ち着きの悪い気がするので、貞之助などは
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蹲踞
(
しゃが
)
んで
水
(
み
)
の
面
(
も
)
をみていると、飛んでゆく鳥の影が、まるで
魣
(
かます
)
かなんかが泳いでいるように見える。水色をした小さい
蟹
(
かに
)
が、
石崖
(
いしがけ
)
の間を、
螯
(
はさみ
)
をふりながら登って来ている。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
川の水は満潮の
儘
(
まま
)
まだ
退
(
ひ
)
こうとしない。私は
石崖
(
いしがけ
)
を伝って、
水際
(
みずぎわ
)
のところへ降りて行ってみた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
石崖
(
いしがけ
)
の上の端近く、一高の学生が一人あぐらをかいて上着を頭からすっぽりかぶって暑い日ざしをよけながら岩波文庫らしいものを読みふけっている。おそらく「
千曲川
(
ちくまがわ
)
のスケッチ」らしい。
あひると猿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
座敷は川が
鍵
(
かぎ
)
の手に曲っている
石崖
(
いしがけ
)
の上に建っていて、その鍵の手の角のところへ、別に又二筋の川が十の字を描くように集って来ているのが、障子の内にすわっていると
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
武藤邸の白い長い
石崖
(
いしがけ
)
を出はずれると、山の方へ上って行く誰にもそんなに知られていない石の段々がある。実に静かで長い段々なので、私は月のいい夜など、この石の段々へ犬を連れて涼みに行く。
落合町山川記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
愴惶
(
そうこう
)
として往年の恋の通い路、———例の
石崖
(
いしがけ
)
の下へ走って行った。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
石
常用漢字
小1
部首:⽯
5画
崖
常用漢字
中学
部首:⼭
11画
“石”で始まる語句
石
石鹸
石垣
石塊
石見
石燈籠
石榴
石膏
石楠花
石碑