トップ
>
眼醒
>
めざ
ふりがな文庫
“
眼醒
(
めざ
)” の例文
兵馬はその茶屋というのへ行ってみたが、たしかにお二人はおいでになっているが、未だお
眼醒
(
めざ
)
めになりませんという。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼女の体内には性の
眼醒
(
めざ
)
めがぼんやり感ぜられていたにもせよ、彼女はまだそれを自覚していなかったし、夫も敢て自覚させようとは努めなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……ところがツイこの頃になりまして、そうした女性的な習慣に埋もれておりました私の心が、いつの間にか男性として
眼醒
(
めざ
)
め初めたので御座います。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かつて人の足に踏ませない
苑内
(
えんない
)
なので、ここの
庭苔
(
にわごけ
)
は実に
眼醒
(
めざ
)
めるばかり鮮やかであった。苔の香いというものを私はここで初めて
咽
(
む
)
せるほど知った。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
強
(
し
)
ひて言へば、不自然な快活さだ。何かの理由で今まで
堰
(
せ
)
かれてゐた快活の翼が急に
眼醒
(
めざ
)
めたやうな。……伊曾は鋭い
眸
(
ひとみ
)
で少女を見すゑながらさう直感した。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
お霜は
恭
(
うやうや
)
しく千曲の手を取って上座に据え、
眼醒
(
めざ
)
めるばかりに美しい
金襴
(
きんらん
)
の
袱紗
(
ふくさ
)
を押し開き、
黄金
(
きん
)
で
拵
(
こしら
)
えた十字架を、彼女の前へ持ち出しながら、彼女にとっては寝耳に水の
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この
偃地
(
えんち
)
性の小灌木は、茎の粗い皮を、岩石に擦りつけるようにしている、
槲
(
かしわ
)
に似て、小さい、鈍い、鋸の歯のように縁を刻んだ葉を、
眼醒
(
めざ
)
めるように鮮やかな緑に色づけて
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
反絵
(
はんえ
)
は鹿狩りの疲労と酒とのために、計画していた卑弥呼の傍へ行くべき時を寝過した。そうして、彼が
眼醒
(
めざ
)
めたときは、
耶馬台
(
やまと
)
の宮は、朝日を含んだ
金色
(
こんじき
)
の霧の底に沈んでいた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
が、どうして、幾日も幾日もの
鬱屈
(
うっくつ
)
の床で、光明に
眼醒
(
めざ
)
めてじっとしていられよう!
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
然
(
しか
)
るに或夜、夢を見て今迄になかった重い暗愁を感じて不快な気持から
眼醒
(
めざ
)
めた。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
或る時、平三は酒を呑んでいて、ふと
憤怒
(
ふんぬ
)
に
眼醒
(
めざ
)
めた。彼はその憤怒を
一入
(
ひとしお
)
燃え立たそうとして酒をあおった。酒を酒を、あおってあおって彼はぐでんぐでんに酔っ払って出掛けて行った。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
余計な心配だが、これから五年あるいは十年の
後
(
のち
)
、工事
了
(
おわ
)
りて元の閑寂なる山村に帰った時、初めて
眼醒
(
めざ
)
むる彼等の苦痛は、
一旦
(
いったん
)
心に
印
(
いん
)
せられた惰弱の
風
(
ふう
)
と共に永久に消ゆるの時がなかろう。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
そう
諭
(
さと
)
してから、老母はなおもいうのだった。奥のお客が
眼醒
(
めざ
)
めたら、改めてもう一度、
技
(
わざ
)
を競ってみるがよい。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一千二百二十尺の、
王岳
(
おうたけ
)
山の頂きが、次第に水色を呈して来た。しかし山肌はまだ暗く、山全体は
眼醒
(
めざ
)
めなかった。王岳と向かい合った
釈迦岳
(
しゃかがたけ
)
は、しかし半分醒めかけていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……極めて徐々に……徐々に……工場内に重なり合った一切の機械が
眼醒
(
めざ
)
めはじめる。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
踊子らも
選
(
え
)
りぬきと見えそれぞれに優劣の差のない、揃った清潔な感じがした。
手穢
(
てあか
)
の染まぬ若い騎兵の
襟首
(
えりくび
)
の白さにちらりとほの見える茎色の
艶
(
つや
)
があった。実に
眼醒
(
めざ
)
めるばかりの美しさだった。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「昼寝と申していたが、実は筑前はもう
眼醒
(
めざ
)
めておるのではあるまいか。何にしても、余り無愛想な」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「私のことを女菩薩だなどと、なんの托宣などござりますものか」鳰鳥は静かに長者の
傍
(
わき
)
へ
眼醒
(
めざ
)
むるばかりに美しい匂うような姿を坐らせたが、心持ち眉を
顰
(
ひそ
)
ませて、庭の三人の女を見た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
水色かった振り袖を着、
鹿子
(
かのこ
)
をかけた島田髷へ、ピラピラの
簪
(
かんざし
)
をさしている。色が白くて血色がよくて、
眼醒
(
めざ
)
めるばかりに
縹緻
(
きりょう
)
がよい。古い
形容
(
いいぐさ
)
だが鈴のような眼つき、それがきわめて
仇
(
あだ
)
っぽい。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
醒
常用漢字
中学
部首:⾣
16画
“眼”で始まる語句
眼
眼鏡
眼前
眼瞼
眼差
眼窩
眼球
眼眸
眼色
眼力