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真只中
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まっただなか
ふりがな文庫
“
真只中
(
まっただなか
)” の例文
「やあ、帆村君」警部は、青年探偵帆村荘六の
和
(
なご
)
やかな眼をみた。事件の
真只中
(
まっただなか
)
に入ってきたとは思われぬ
温容
(
おんよう
)
だった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人を嚇してみるにはよいところ、
朱雀野
(
すざくの
)
の
真只中
(
まっただなか
)
、近来ここでは
追剥
(
おいはぎ
)
と
辻斬
(
つじぎり
)
とが
流行
(
はや
)
る、遊客は非常な警戒をした上でなければ通らないところです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その間彼は寝台の上に、燃え立つような赤い光の
真只中
(
まっただなか
)
に横になっていた。その光は、時計が一時を告げた時に、その寝台の上を流れ出したものである。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
風の加った
雨脚
(
あまあし
)
の激しい海の
真只中
(
まっただなか
)
だ。もはや、小初の背後の波間には追って来る一人の男の姿も見えない。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
少年ははらばいながら岬の
端
(
はじ
)
へ出て下を覗き込んだ。少年のすぐ眼の下に底の知れない
蒼海
(
あおうみ
)
の
真只中
(
まっただなか
)
から、空中につっ立っている一つの大きな大きな巌がある。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
▼ もっと見る
嵐と火事の
真只中
(
まっただなか
)
に囲まれた京の人々は全く半狂乱でその為す所を知らずと云う有様、皆もう生きた心持もなく、
唯々
(
ただただ
)
自然の成り行きにまかせて見ているより仕方がなかった。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
彼は心底はほんとうに情の深い、気立てのよい男なのだが、ふしぎに争いの
真只中
(
まっただなか
)
に飛びこむのが好きである。しかし、奇妙な性癖で、彼は喧嘩の最初のほうだけしか楽しまない。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ヨブは大苦難の
真只中
(
まっただなか
)
にありて前後左右を暗黒に囲まれつつ、
一縷
(
いちる
)
この光明を抱いたのである。以てこの語の偉大さを知るのである。これ人生の
根柢
(
こんてい
)
における彼の確信の発表である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そこは海洋の
真只中
(
まっただなか
)
の
大鳴門
(
おおなると
)
だ。約一海里平方ぐらいの海が、大渦巻をなして、
轟々
(
ごうごう
)
と
物凄
(
ものすご
)
いうなりをあげている。「あッ! 大渦巻だ!」「人をも、船をも、一呑みにする魔の海だ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
共産主義者としての彼はまだ若く、その上にいわばインテリにすぎなかったから、実際生活の
苦汁
(
くじゅう
)
をなめつくし、その
真只中
(
まっただなか
)
から自分の確信を鍛え上げた、というほどのものではなかった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
二俣
(
ふたまた
)
の奥、
戸室
(
とむろ
)
の
麓
(
ふもと
)
、岩で城を
築
(
つ
)
いた山寺に、
兇賊
(
きょうぞく
)
籠
(
こも
)
ると知れて、まだ
邏卒
(
らそつ
)
といった時分、
捕方
(
とりかた
)
が
多人数
(
たにんず
)
、
隠家
(
かくれが
)
を取巻いた時、表門の
真只中
(
まっただなか
)
へ、その
親仁
(
おやじ
)
だと言います、六尺一つの
丸裸体
(
まるはだか
)
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仮令それが惚れたはれたの
真只中
(
まっただなか
)
、浮いた浮いたの真最中でも、相手の女性はこの感得力だけは別にチャンと取っておいて、暗黙の裡に男性の心理状態を研究し続けているものであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、とても
綺麗
(
きれい
)
な星に違いないわ。きっと、一番美しくきらきら輝いているんだわ。……ねえ、文麻呂。そんな気がしない? あたし達はいつの間にか大空の
真只中
(
まっただなか
)
に出てしまったの。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
桶
(
おけ
)
の中の
芋
(
いも
)
の様に混乱して、息も絶え絶えに合唱を続け、
人津浪
(
ひとつなみ
)
は、或は右へ或は左へと、打寄せ揉み返す、その
真只中
(
まっただなか
)
に、あらゆる感覚を失った二人の客が、死骸の様に漂っているのでした。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれど、彼の全身にみなぎっている真実を求める心は、主人公の気づかぬ間に、いつしか彼を散歩と称して、
臭気
(
しゅうき
)
漂
(
ただよ
)
う
真只中
(
まっただなか
)
に押しやっていたのだった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真只中
(
まっただなか
)
を細い一筋の川——だが近よつて見ると細くはない。大河だ。大雪原の大面積が大河を細く
劃
(
くぎ
)
つて見せてゐたのである。いつか私はその岸をとぼ/\と歩いてゐた。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
海洋の
真只中
(
まっただなか
)
に浮んでいる人造島が、深い眠りに陥っているところを
狙
(
ねら
)
うのだ。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
処もあろうに現代文化の
淵叢
(
えんそう
)
であり権威である九州帝国大学のまん中の、まひるの
真只中
(
まっただなか
)
に、ほとんど
仮初
(
かりそ
)
めに私の指先に触れたと思う間もなく、早くもその眼に見えぬ魔手をさし伸ばして
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大海原の
真只中
(
まっただなか
)
でも
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
醤は、このからからんという音を聞くたびに、
寒山寺
(
かんざんじ
)
のさわやかなる秋の夕暮を想い出すそうである。——なにしろ、ここは、
人跡
(
じんせき
)
まれなる
濠洲
(
ごうしゅう
)
の砂漠の
真只中
(
まっただなか
)
である。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
氷原の
真只中
(
まっただなか
)
に、氷にとざされて傾いている巨船であった。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
只
漢検準1級
部首:⼝
5画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真直
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮