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デッキ
ふりがな文庫
“
甲板
(
デッキ
)” の例文
甲板
(
デッキ
)
を
徐
(
しず
)
かに歩いたり、お互いにじろじろ見かわしたり、または同船していることを知らずにいた知人に偶然出逢ったりしていた。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
観音丸
(
かんのんまる
)
は直江津に
安着
(
あんちゃく
)
せるなり。乗客は狂喜の声を
揚
(
あ
)
げて、
甲板
(
デッキ
)
の上に
躍
(
おど
)
れり。拍手は
夥
(
おびただ
)
しく、
観音丸
(
かんのんまる
)
万歳! 船長万歳!
乗合
(
のりあい
)
万歳!
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真夜中、私は再び
甲板
(
デッキ
)
に出たが、湾に入ることよりも遙かに興味があったのは、海の燐光である。その光輝は驚くばかりであった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
水船の舷側にヘバリ付いてブカブカ遣っていることがわかった……ちょうど
向側
(
むこうがわ
)
だったから
甲板
(
デッキ
)
の上から見えなかったんだね。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そうだね、何かに衝突したらしいことは僕も知っていたよと、私が笑いますと、ボクソウルは続けてF
甲板
(
デッキ
)
まで水が来て、
郵便室
(
メイル・ルウム
)
は大洪水だ。
運命のSOS
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
彼等の姿が、昼間、
甲板
(
デッキ
)
にみえると、不意にマダム・クラビンスキイが三等客室の方からあがつて来ることがあつた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
プープ
甲板
(
デッキ
)
に駆け上りフライング・ブリッジを走って、死物狂いの兵員が前艦橋へと駆け抜けてゆく。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
船長は大きくうなずいて、ボーイに
短銃
(
ピストル
)
を取りにやった。短銃は空へ向けられた。空の猿と
甲板
(
デッキ
)
の飼主とは、主従で腹をあわしているように船長へ歯をむいて吠えた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聯合組は、大庭春吉、田中光徳、牧野
藤三郎
(
とうざぶろう
)
、などの重役に、岡野松四郎、三崎清次郎、渡辺国明、金五郎、等の
小頭
(
こがしら
)
連中、
甲板
(
デッキ
)
番の新谷勝太郎、会計の松丸龍蔵、その他。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼は怒りのあまりに、今にもわたしを
撲
(
う
)
ち倒しはしまいかとさえ思った。しかも彼はもう一度
罵
(
ののし
)
ったあとに、船長室のドアを荒あらしく突きあけて
甲板
(
デッキ
)
へ飛び出してしまった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
と首を振って、そのまま
甲板
(
デッキ
)
へ飛び降りた。が、そこで直ぐに警官達と格闘が始った。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「ペータアさん、きっと
甲板
(
デッキ
)
に出ててくれはりますやろなあ」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
フィリップスとブライドが無電室を跳び出して見ると、船首から船体の半ばまで水に突っ込んで、最上層のボウト
甲板
(
デッキ
)
さえ浪に洗われている。
運命のSOS
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
船の
甲板
(
デッキ
)
は、むろん一瞬間に
修羅場
(
しゅらじょう
)
と化していた。今の今まで、抱き合ったり、吸付き合ったりしていた男や女が、先を争って舷側に馳け付けた。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
艀
(
はしけ
)
は
鎖
(
くさり
)
を
解
(
と
)
きて本船と別るる時、乗客は再び
観音丸
(
かんのんまる
)
と船長との万歳を
唱
(
とな
)
えぬ。
甲板
(
デッキ
)
に立てる船長は
帽
(
ぼう
)
を
脱
(
だっ
)
して、満面に
微笑
(
えみ
)
を
湛
(
たた
)
えつつ答礼せり。
艀
(
はしけ
)
は
漕出
(
こぎいだ
)
したり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼女は、
甲板
(
デッキ
)
の上の水溜りをよけながら、右へ左へと歩きまはつた。梯子を伝つて、二等船室の甲板へも降りた。それから、足の向くままに、歩けるところは何処でも歩いた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
驚くべしこの英国船中の警戒は厳重を極めてB
甲板
(
デッキ
)
太子の
船室
(
ケビン
)
の前には例の私の見た大使館員なのであったろう、英人二名が張り番をして絶対に見送り人を近付かせなかった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
三崎の若い
衆
(
し
)
も出て来て、
浮標
(
ブイ
)
にかかるのを待って、段取りしようとした。そしたら、オヤジ、三菱の
甲板
(
デッキ
)
番が——これは、共働組でやることになっとる。……というんですよ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
ところで
甲板
(
デッキ
)
に引返してみると船はモウ十四海里も西へ廻っていて、絶影島は山の蔭になってしまっていた。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
俵の数は約二百俵、五十
石
(
こく
)
内外の
米穀
(
べいこく
)
なれば、機関室も
甲板
(
デッキ
)
の
空処
(
あき
)
も、
隙間
(
すきま
)
なきまでに積みたる重量のために、船体はやや傾斜を
来
(
きた
)
して、
吃水
(
きっすい
)
は著しく深くなりぬ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
従って機関部の人たちに遇うことは殆どなかった。石炭と灰と油に
塗
(
まみ
)
れて
船底
(
ダンビロ
)
に
蠢
(
うごめ
)
いている彼らを、何かと言えば軽蔑する風習が
何
(
ど
)
の船の
甲板
(
デッキ
)
部員をも支配していた。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
金五郎が、三菱の
甲板
(
デッキ
)
番と、
藤八拳
(
とうはちけん
)
を打っていると、仲居がそっと袖を引いた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
海面に
谺
(
こだま
)
して汽笛が物憂げに鳴り響き、今や雨のごとくに降りしきるテープとハンカチの波の向うに、この時突然太子とシャアとの姿がボート
甲板
(
デッキ
)
いささか
船首
(
バウ
)
寄りのこっちに現れたのであった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
波の静かな夜は、
甲板
(
デッキ
)
に出て空の星を二人で眺めた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
甲板
(
デッキ
)
まで見送って来た連絡船のボーイ連にチョット脱帽したが、頭は真白く禿げたツルツル坊主であった。
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
同室のボウイの口から
甲板
(
デッキ
)
部の
下級員
(
クルウ
)
が十七人、
機関
(
エンジン
)
部が二十一人で、船はこれから一直線に南下して木曜島で海鳥糞を積み、
布哇
(
ハワイ
)
を廻って北米西海岸グレイス・ハアバアで角材を仕入れ
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その数百坪に亘る「
鈹
(
かわ
)
」の火の海の上へ、工場の
甲板
(
デッキ
)
から突出ている船橋めいたデッキの突端に、鳥打帽、菜葉服姿の中野学士が凝然と突立って見下している。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
日本の参謀本部の無電一本でどこへでも行く船なんです。第一長崎へなんか行きやしません。嘘だと思われるならば
甲板
(
デッキ
)
へ上って、
羅針盤
(
コンパス
)
を覗いて御覧なさい。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……と思ううちに、やがて谷底へ落ち付いた一
刹那
(
せつな
)
、次の波の横っ腹に
艦首
(
トップ
)
を突込んでドンイイインと七噸から十噸ぐらいの波に
艦首
(
トップ
)
の
甲板
(
デッキ
)
をタタキ付けられる。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恐ろしく小面倒な動力の計算書なんかを一週間がかりで書き上げて
甲板
(
デッキ
)
に持って行くと、「アリガトウ」と云って、見る
片端
(
かたはし
)
から一枚一枚海の風に飛ばしてしまう。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
綺麗に剃り上げた頬の皺は、濡れた紙のように弾力を失って、
甲板
(
デッキ
)
の上からトロンと見据えた大きな真珠色の瞳は、夢遊病者のソレのようにウットリと下関駅の
灯
(
ひ
)
を映している。
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
晩香坡
(
バンクーバ
)
に着いてっからS・O・Sの
女郎
(
めろう
)
をヒョッコリ
甲板
(
デッキ
)
に立たせて、ドンナもんだい。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
高い
甲板
(
デッキ
)
の上から五六人、瞳を揃えて遠ざかって行く彼のうしろ姿を見送っていた。
人間レコード
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
とりあえず
甲板
(
デッキ
)
の部屋へ帰りましょうね。あそこでユックリ御相談しましょう。ナアニ。この船の中では船長以下が僕の命令通りに動きますから、心配は要りません。問題は
大連
(
たいれん
)
に着いてからです。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“甲板”の意味
《名詞》
(かんぱん、こうはん)船舶の上部の広く平らな部分。デッキ。
(こういた)机・棚などの上面の板。
(こういた)鰹木を支えるために棟に沿って渡す長い板。
(出典:Wiktionary)
甲
常用漢字
中学
部首:⽥
5画
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
“甲板”で始まる語句
甲板上
甲板番
甲板士官
甲板組
甲板部
甲板掃除
甲板旅客
甲板球戯
甲板給仕