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狂奔
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きょうほん
ふりがな文庫
“
狂奔
(
きょうほん
)” の例文
また、明らかに、反秀吉を今も
唱
(
とな
)
えて、この正月にさえ、軍備や諜報に
狂奔
(
きょうほん
)
している一部の勢力も、大坂城の門には馬をつながない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
帆村荘六は、某大国の機密を何とかして探りあてたいと、寝食を忘れて
狂奔
(
きょうほん
)
したが、敵もさる者で、なかなか尻尾をつかませない。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
物が足りない物が足りないと言って、闇の買いあさりに
狂奔
(
きょうほん
)
している人たちは、要するに、工夫が足りないのです。研究心が無いのです。
やんぬる哉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人には道理を考える心が無くなって、
宛
(
あたか
)
も酔漢の如くに市中を
狂奔
(
きょうほん
)
する者が沢山あった。警察の官吏とても
之
(
これ
)
を制止しようとは勉めなかった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
写生文家の人間に対する同情は叙述されたる人間と共に
頑是
(
がんぜ
)
なく
煩悶
(
はんもん
)
し、無体に号泣し、直角に跳躍し、いっさんに
狂奔
(
きょうほん
)
する
底
(
てい
)
の同情ではない。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
如何に挙げてこの事件に
狂奔
(
きょうほん
)
したかを話され、そしていよいよとなった時に頼りになったのは、当時の理科大学の先生たちだけであったと述懐された。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「お言葉ごもっともにござりまする。なれど、同心をはじめ江戸じゅうの御用の者ども、何を申すにもただいまはあの辻斬りの件に
狂奔
(
きょうほん
)
しておりまして——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
自分自身が、
復讐
(
ふくしゅう
)
に
狂奔
(
きょうほん
)
して、心にもない偽りの結婚をしていることが、あさましい罪悪のように思われて、とりとめもなく、心を苦しめることなのであった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
女が高荷を背負っていたために、馬が驚いて
狂奔
(
きょうほん
)
したというのを理由に、気の立っていた時之助は、怪我をして肥たごに落ちた女を見捨て、そのまま屋敷へ引揚げて来たのです。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
当局のみならず、市民の有志も協力して、この街上の女の
屠
(
と
)
殺者、暗黒を
縫
(
ぬ
)
う夜獣を捕獲しようと
狂奔
(
きょうほん
)
し、ありとあらゆる方策が案出され実行された。徹夜の自警団も組織された。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
東京では江戸のむかし山の手の屋敷町に限って、田舎から出て来た奉公人が盆踊をする事を許されていたが、町民一般は氏神の祭礼に
狂奔
(
きょうほん
)
するばかりで盆に踊る習慣はなかったのである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その逃亡芸者を探しまわった人たちの
狂奔
(
きょうほん
)
というものを、全く知らなかった。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ある日もアンポンタンはおまっちゃんと四ツ角で、その大人の、
目覚
(
めざま
)
しい
狂奔
(
きょうほん
)
を見物していた。すると、
帝釈様
(
たいしゃくさま
)
の剣に
錦地
(
にしきじ
)
の
南無妙法蓮華経
(
なむみょうほうれんげきょう
)
の
幟
(
のぼり
)
をたてた
出車
(
だし
)
の上から声をかけたものがある。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
夜に日を次いで
狂奔
(
きょうほん
)
しているにも
拘
(
かかわ
)
らず、どこに風がふくかと、相変らずの夜あるきをつづけている彼、しかも、爪先を向けているのが、ついこないだ、門倉平馬に連れられて無理に引き込まれた
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
獣の群は
狂奔
(
きょうほん
)
した。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
権叔父やお杉ばばは、なお信じるはずもない。御堂の床下ではないか、裏山へ逃げたのではないかと、陽の暮れるまで、
狂奔
(
きょうほん
)
していた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海面は、
狂奔
(
きょうほん
)
する幾すじもの水はしらと、あたりをつつむまっくらな火薬のけむりとでもって、すっかりつつまれてしまった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そういう感情の動くままに、
狂奔
(
きょうほん
)
していた自分のあさましさが、しみじみ分かったような気がした。船を追って狂奔した昨日の自分までが、
餓鬼
(
がき
)
のようにあさましい気がした。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
カジョーとは段々仲が良くなり、ぼくの臭さも彼、許してくれてきましたようです。『春服』創刊から二号にかけて、ぼくは昨年暮から今年の三月頃まで就職に
狂奔
(
きょうほん
)
しました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と人々は、刹那のあとを、なお見まもったが、何のこともなく、馬は又兵衛を乗せたまま、追いついた敵勢のなかを
狂奔
(
きょうほん
)
していた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広瀬中佐の銅像の向うあたりに、うち固って
狂奔
(
きょうほん
)
する一団の群衆があった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「冠省。首くくる
縄切
(
なわき
)
れもなし年の暮。私も、大兄お言いつけのものと同額の
金子
(
きんす
)
入用にて、八方
狂奔
(
きょうほん
)
。岩壁、切りひらいて行きましょう。死ぬるのは、いつにても可能。たまには、後輩のいうことにも留意して下さい。永野喜美代。」
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、一言聞えたのみで、それきり門内の声のないのは、急を表御堂へ告げて、
咄嗟
(
とっさ
)
の防禦に
狂奔
(
きょうほん
)
しているものに違いなかった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
火焔は時を
仮借
(
かしゃく
)
していない。一歩を誤らんか、せっかくそこを捜しあてても、あとのまつりとなることは知れている。
狂奔
(
きょうほん
)
せずにはいられなかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
びし、びし、と
鞭
(
むち
)
に
趁
(
お
)
われて、檻車を曳いてゆくまだらの牛は、尾をふって、
狂奔
(
きょうほん
)
してゆく。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
放生月毛はこのあいだに、
空鞍
(
からくら
)
を乗せたまま長坂長閑の陣地内へ、向う見ずに
狂奔
(
きょうほん
)
してゆく。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
東儀与力は、
愕然
(
がくぜん
)
として、外へ駈け出した。彼の声に、獄吏は棒をかかえて飛んで来た。だが、八方への
狂奔
(
きょうほん
)
は、雲をつかむような騒ぎに帰した。一つのお笑い事で終りを告げた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仮吟味
(
かりぎんみ
)
の準備のために、与力や同心が
狂奔
(
きょうほん
)
するかたわらには、奉行中山
出雲守
(
いずものかみ
)
が三家の若殿万太郎が不時の訪れに、その応接にも狼狽し、一方、役宅へ迎び入れた日本左衛門と金吾とには
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血まなこな
狂奔
(
きょうほん
)
にくれていた密偵群の網の目にも
皆目
(
かいもく
)
行方知れずであった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の驚きと共に、駒も驚いて、突然、まっ白な
旋風
(
つむじかぜ
)
を起して
狂奔
(
きょうほん
)
した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、さしずに
狂奔
(
きょうほん
)
していたので、その顔からも、湯気が立っていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“狂奔”の意味
《名詞》
狂ったように走り回ること。
あることに夢中になり奔走すること。
(出典:Wiktionary)
狂
常用漢字
中学
部首:⽝
7画
奔
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“狂”で始まる語句
狂
狂人
狂気
狂犬
狂言
狂氣
狂瀾
狂喜
狂歌
狂躁