滔々たう/\)” の例文
滔々たう/\と縁日の口上口調で饒舌しやべり立てる大気焔に政治家君も文学者君も呆気あつけに取られて眼ばかりパチクリさせてゐた。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
懸河けんが滔々たう/\たる老女の能弁をひげを弄しつゝ聴き居たる篠田「老女おばさん、其れは何事ですか、わたしにはすこしもわかりませぬが」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
洗ふ水音みづおと滔々たう/\として其の夜はことに一てんにはかに掻曇かきくも宛然さながらすみながすに似てつぶての如きあめはばら/\と降來る折柄をりから三更さんかう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな
滔々たう/\たる水路すゐろ五百余里よりながれて東海に入り、巨濤こたうに千たうし風波に万てんすれども断折だんせつ砕粉さいふんせず、直身ちよくしん挺然ていぜんとして我国の洋中おきなかたゞよひ、北海の地方にちかより、椎谷しひや貧民ひんみんひろはれてはじめて水をはな
明朗なる音声もて滔々たう/\述べ来れる吾妻は、悲憤の涙を絞りつゝ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
蒙むれば山内此末非人乞食こつじきと成果るも官位は身に備れば伊賀亮の亮の字も心得て用ひ候なり辯舌べんぜつ滔々たう/\と水の流る如くにのべければ流石の越前守も言葉なく暫時しばし控られしがやゝあつて山内に向かひ其方の身分委く聞ば尤もなり併し天一は似物にせものに相違なければ召捕べしといふに伊賀亮いがのすけかたち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こめたりける此所は名におふ周智郡すちごほり大日山のつゞき秋葉山の絶頂ぜつちやうなれば大樹だいじゆ高木かうぼく生茂おひしげり晝さへくら木下闇このしたやみ夜は猶さらに月くら森々しん/\として更行ふけゆく樣に如何にも天魔てんま邪神じやしん棲巣すみかとも云べきみねには猿猴ましらの木傳ふ聲谷には流水滔々たう/\して木魂こだまひゞき遠寺ゑんじかねいとすごく遙に聞ば野路のぢおほかみほえて青嵐颯々さつ/\こずゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)