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泰平
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たいへい
ふりがな文庫
“
泰平
(
たいへい
)” の例文
さてここに、私もちょうど
泰平
(
たいへい
)
の世を
謳歌
(
おうか
)
するようなのんきなむだばなしを書いたが、それは口からでまかせにしゃべりちらしたものである。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「アア、酒も好い、
下物
(
さかな
)
も好い、お酌はお前だし、天下
泰平
(
たいへい
)
という訳だな。アハハハハ。だがご
馳走
(
ちそう
)
はこれっきりかナ。」
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「お山はお山だ! 白山のことよ! 鬼王丸の支配下にあるこの加賀の白山のことよ! 昔ながらに
泰平
(
たいへい
)
であろうな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
泰平
(
たいへい
)
の世には、めったに見られないが、あけくれ血や
白刃
(
しらは
)
になれた戦国武士の悪い者のうちには、町人百姓を
蛆虫
(
うじむし
)
とも思わないで、ややともすると
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国家が危くなれば個人の自由が
狭
(
せば
)
められ、国家が
泰平
(
たいへい
)
の時には個人の自由が
膨脹
(
ぼうちょう
)
して来る、それが当然の話です。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
泰平
(
たいへい
)
の世の江戸参勤のお供、いざ戦争というときの陣中へのお供と同じことで、
死天
(
しで
)
の山
三途
(
さんず
)
の川のお供をするにもぜひ殿様のお許しを得なくてはならない。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
の
江戸時代
(
えどじだい
)
の
泰平
(
たいへい
)
の
夢
(
ゆめ
)
も
破
(
やぶ
)
れるときがきました。
江戸
(
えど
)
の
街々
(
まちまち
)
が
戦乱
(
せんらん
)
の
巷
(
ちまた
)
となりましたときに、この一
家
(
か
)
の
人々
(
ひとびと
)
も、ずっと
遠
(
とお
)
い、
田舎
(
いなか
)
の
方
(
ほう
)
へ
逃
(
のが
)
れてきました。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
机の前にあぐらをかきながら、湯に
溶
(
と
)
かしたブロチンを
啜
(
すす
)
つてゐれば、
泰平
(
たいへい
)
の民の心もちがする。かう云ふ時は小説なぞ書いてゐるのが、あさましいやうにも考へられる。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それも江戸の
泰平
(
たいへい
)
が今絶頂という
元禄
(
げんろく
)
さ中の仲之町の、ちらりほらりと花の便りが、きのう今日あたりから立ちそめかけた春の宵の五ツ前でしたから、無論
嫖客
(
ひょうきゃく
)
は出盛り時です。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あの
親切
(
しんせつ
)
な
優
(
やさ
)
しい
方
(
かた
)
を
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
ふては
惡
(
わる
)
いけれど
若旦那
(
わかだんな
)
さへ
無
(
な
)
かつたらお
孃
(
ぢやう
)
さまも
御病氣
(
ごびやうき
)
になるほどの
心配
(
しんぱい
)
は
遊
(
あそ
)
ばすまいに、
左樣
(
さう
)
いへば
植村樣
(
うゑむらさま
)
が
無
(
な
)
かつたら
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
に
治
(
をさ
)
まつたものを
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吉三郎の家を出ると、ガラツ八はもう天下
泰平
(
たいへい
)
の顏になつてゐるのでした。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この二十日間、さいわいべつに怪しい事件も起こらず、まず
泰平
(
たいへい
)
であった。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とはいえ互いにここの苦悩百難を乗り超ゆるも、ゆくての乱定まって
泰平
(
たいへい
)
に会う日の作業じゃ。……別離の一献を酌んで、明日は戦場で快く会おうぞ
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泰平
(
たいへい
)
の時代にふさはしい、優美なきらめき
烏帽子
(
ゑぼし
)
の下には、
下
(
しも
)
ぶくれの顔がこちらを見てゐる。そのふつくりと肥つた頬に、鮮かな赤みがさしてゐるのは、何も
臙脂
(
えんじ
)
をぼかしたのではない。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さて、豊臣の政権が長くつづかないとしても、天下万民が安穏に富みさかえ、家ごとに家運の繁栄と世の
泰平
(
たいへい
)
を謳歌することは、近い将来のことです。そのとき、だれが天下を統一するか。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それほど世は
泰平
(
たいへい
)
と
錯誤
(
さくご
)
していたのである。ゆうべも今朝も、実に変らぬ戦国下の一日であり、その中の都でもあることを、ふと忘失していたのである。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
形では上下の区別があっても、そのときその治下の民衆は大きな安心と国家の
泰平
(
たいへい
)
を感じるからである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ一ときもはやく、かねがねそちが話したおん方にお目にかかり、また
忍剣
(
にんけん
)
をたずね、その他の勇士を
狩
(
か
)
りあつめて、この乱れた世を
泰平
(
たいへい
)
にしずめるほか、
伊那丸
(
いなまる
)
の望みはない
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして自己の勢力圏内にある民心に、将来の
泰平
(
たいへい
)
と、統業の実を示すにあった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「世を治めるの剣。民を愛護し
泰平
(
たいへい
)
を招来するの
経世
(
けいせい
)
の剣にござります」
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
泰
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
“泰平”で始まる語句
泰平楽
泰平来
泰平郷
泰平有象