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ふりがな文庫
“
波頭
(
なみがしら
)” の例文
ただ
波頭
(
なみがしら
)
が
白
(
しろ
)
く
見
(
み
)
えるかと
思
(
おも
)
うと
消
(
き
)
えたりして、
渺茫
(
びょうぼう
)
とした
海原
(
うなばら
)
を
幾
(
いく
)
百
万
(
まん
)
の
白
(
しろ
)
いうさぎの
群
(
む
)
れが
駆
(
か
)
けまわっているように
思
(
おも
)
われました。
黒い旗物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『吉野』や『千種』はどうしたかしら? と思って、
右舷
(
うげん
)
の方を見ると、白い
波頭
(
なみがしら
)
がはてしもなくつづいて、さがす『吉野』らの影もない。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
ところどころに
波頭
(
なみがしら
)
がたつ。その海が前方に迫るに従って海中の
岩礁
(
がんしょう
)
に砕けてしぶきをあげる。更に前景には大きな岩礁が横たわり突き出ている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
浪打際
(
なみうちぎは
)
は
綿
(
わた
)
をば
束
(
つか
)
ねたやうな
白
(
しろ
)
い
波
(
なみ
)
、
波頭
(
なみがしら
)
に
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
てて、どうと
寄
(
よ
)
せては、ざつと、おうやうに、
重々
(
おも/\
)
しう、
飜
(
ひるがへ
)
ると、ひた/\と
押寄
(
おしよ
)
せるが
如
(
ごと
)
くに
來
(
く
)
る。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
荒海の衝立、怒り狂う
紺青
(
こんじょう
)
の
波頭
(
なみがしら
)
を背にして、小袖の前を掻き乱したまま、必死の笑いに笑い狂う美女の物凄さ。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
その間、ダネイは彼女の子供を胸に抱きしめて、今に大きな波が、その泡立った
波頭
(
なみがしら
)
を彼等二人の上にぶっつけて来やしないかと、びくびくしていました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
彼のシャツ、カラー類は、靴下と釣合うほどの上等なものではなかったが、近くの渚に寄せて砕ける
波頭
(
なみがしら
)
か、海上遠くで日光にきらきらと光っている帆影ほどに白かった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
雪のために薄くぼかされたまっ黒な大きな山、その頂からは、火が燃え立つように、ちらりちらり白い
波頭
(
なみがしら
)
が立っては消え、消えては立ちして、瞬間ごとに高さを増して行った。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
波頭
(
なみがしら
)
が砂浜をはい上がって引いたすぐあとの湿った細砂の表面を足で踏むと、その周囲二三尺ほどの所が急にすうとかわくが、そのまま立ち止まっていると、すぐにまた湿って来ます。
夏の小半日
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
桜や松や
梧桐
(
ごどう
)
や梅や、そういう植え込みの間々に、泉水、土橋、築山、
亭
(
ちん
)
、別殿などがしつらえてあり、ほそぼそと灯された石燈籠の
燈
(
ひ
)
に、盛りの萩の白い花が、
波頭
(
なみがしら
)
のようにおぼめいて見え
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくて沸騰せる
波頭
(
なみがしら
)
は「ざつくろん——」と長く引いて碎ける。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
白い
波頭
(
なみがしら
)
とが、灰色の
海面
(
うみづら
)
から迫つて来る。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
荒海の衝立、怒り狂ふ
紺青
(
こんじやう
)
の
波頭
(
なみがしら
)
を背にして、小袖の前を掻き亂したまゝ、必死の笑ひに笑ひ狂ふ美女の物凄さ。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
浪打際
(
なみうちぎわ
)
は
綿
(
わた
)
をば
束
(
つか
)
ねたような白い波、
波頭
(
なみがしら
)
に
泡
(
あわ
)
を立てて、どうと
寄
(
よ
)
せては、ざっと、おうように、
重々
(
おもおも
)
しゅう、
飜
(
ひるがえ
)
ると、ひたひたと押寄せるが如くに来る。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ、一たび怒れば
海神
(
かいじん
)
も
戦
(
おのの
)
く『富士』よ。ただこの一回の砲撃で、敵の四機は影もなし。見えるものはただ白い
波頭
(
なみがしら
)
、聞えるものはただ黒潮の
高鳴
(
たかなり
)
である。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
しかし波はそれを上下にゆりうごかして、泡立った
波頭
(
なみがしら
)
がその胴にぶっつかって
盛
(
も
)
り上がるだけで、しぶきは決してそのお椀の縁を越えることはありませんでした。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
北の海の方を見ると、ただ白く
波頭
(
なみがしら
)
が躍っていた。空は暗く、悪魔が住むように思われた。林の頂に
遮
(
さえぎ
)
られ、山の鼻に隠れてその暗い空も、鉛色をした海も一部しか見えない。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そこには、
無数
(
むすう
)
の
白
(
しろ
)
いうさぎが、
駆
(
か
)
けているように、
波頭
(
なみがしら
)
が
光
(
ひか
)
って
見
(
み
)
えるばかりでした。
海の踊り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
波頭
(
なみがしら
)
、雲の層、
累
(
かさな
)
る
蓮華
(
れんげ
)
か、
象徴
(
かたど
)
った台座の
巌
(
いわ
)
を見定める
隙
(
ひま
)
もなしに、声とともに羽織の襟を払って、ずかと銅像の足の爪を、烏の
嘴
(
くちばし
)
のごとく上から
覗
(
のぞ
)
かせて、
真背向
(
まうしろ
)
に腰を掛けた。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれ/\、其の
波頭
(
なみがしら
)
が
忽
(
たちま
)
ち
船底
(
ふなぞこ
)
を
噛
(
か
)
むかとすれば、傾く船に三人が声を殺した。途端に二三
尺
(
じゃく
)
あとへ引いて、
薄波
(
うすなみ
)
を
一煽
(
ひとあお
)
り、其の形に煽るや
否
(
いな
)
や、人の立つ如く、空へ
大
(
おおい
)
なる
魚
(
うお
)
が飛んだ。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれあれ、その
波頭
(
なみがしら
)
がたちまち船底を
噛
(
か
)
むかとすれば、傾く船に三人が声を殺した。途端に二三尺あとへ引いて、薄波を一
煽
(
あお
)
り、その形に煽るや否や、人の立つごとく、空へ
大
(
おおい
)
なる
魚
(
うお
)
が飛んだ。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“波頭”の意味
《名詞》
波の上。
海上。
波がしら。
(出典:Wiktionary)
波
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“波頭”で始まる語句
波頭棗