トップ
>
油気
>
あぶらけ
ふりがな文庫
“
油気
(
あぶらけ
)” の例文
旧字:
油氣
その
油気
(
あぶらけ
)
のない
硬
(
こわ
)
い髪の毛が、どういう訳か、頭の真中で立派に左右に分けられている様を、絶えず眼の前に浮べた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
油気
(
あぶらけ
)
も無く擦切るばかりの夜嵐にばさついたが、
艶
(
つや
)
のある薄手な
丸髷
(
まるまげ
)
がッくりと、焦茶色の絹のふらしてんの襟巻。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
鈍
(
にぶ
)
い声をして、土間の左側の茶の間から首を出したのは、六十か七十か知れぬ
白髪
(
しらが
)
の
油気
(
あぶらけ
)
のない、火を付けたら心よく燃えそうに乱れ立ったモヤモヤ頭な婆さんで
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
第十
油揚
(
あぶらげ
)
飯 は
極
(
ご
)
く
無造作
(
むぞうさ
)
なもので、先ずお豆腐の油揚へ
熱湯
(
にえゆ
)
をかけて
油気
(
あぶらけ
)
を取ります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夫の帰った物音に引窓からさす
夕闇
(
ゆうやみ
)
の光に色のない顔を
此方
(
こなた
)
に振向け、
油気
(
あぶらけ
)
失
(
う
)
せた
庇髪
(
ひさしがみ
)
の
後毛
(
おくれげ
)
をぼうぼうさせ、寒くもないのに
水鼻
(
みずばな
)
を
啜
(
すす
)
って、ぼんやりした声で、お帰んなさい——。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
この
梃子
(
てこ
)
ようのものは、五
雄蕊
(
ゆうずい
)
中の下の二
雄蕊
(
ゆうずい
)
から突き出たもので、昆虫の
嘴
(
くちばし
)
がこれに
触
(
ふ
)
れてそれを動かすために、
雄蕊
(
ゆうずい
)
の
葯
(
やく
)
が動き、その
葯
(
やく
)
からさらさらとした
油気
(
あぶらけ
)
のない花粉が落ちて来て
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
杤
(
とち
)
の
実
(
み
)
をひろひて山よりかへりしといふ娘を見るに、髪は
油気
(
あぶらけ
)
もなくまろめつかねたるを
紵
(
を
)
にて
結
(
ゆ
)
ひ、ふるびたる
手拭
(
てのご
)
ひにて
頭巻
(
はちまき
)
をなし、
木綿袷
(
もめんあはせ
)
の
垢
(
あか
)
づきたるが
常
(
つね
)
なみより一尺もみじかきに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
三四郎は此機会を利用して、
丸卓
(
まるテーブル
)
の
側
(
わき
)
を離れて、美禰子の
傍
(
そば
)
へ
近寄
(
ちかよ
)
つた。美禰子は椅子の脊に、
油気
(
あぶらけ
)
のない
頭
(
あたま
)
を、無雑作に
持
(
も
)
たせて、
疲
(
つか
)
れた
人
(
ひと
)
の、
身繕
(
みづくろひ
)
に
心
(
こゝろ
)
なき
放擲
(
なげやり
)
の
姿
(
すがた
)
である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
国芳画中の女芸者は濃く荒く
紺絞
(
こんしぼり
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の腕もあらはに猪牙の
船舷
(
ふなべり
)
に
肱
(
ひじ
)
をつき、憎きまで
仇
(
あだ
)
ツぽきその
頤
(
おとがい
)
を
支
(
ささ
)
へさせ、
油気
(
あぶらけ
)
薄き
鬢
(
びん
)
の毛をば河風の吹くがままに
吹乱
(
ふきみだ
)
さしめたる様子には
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
美禰子は椅子の背に、
油気
(
あぶらけ
)
のない頭を、無造作に持たせて、疲れた人の、身繕いに心なきなげやりの姿である。あからさまに
襦袢
(
じゅばん
)
の
襟
(
えり
)
から
咽喉首
(
のどくび
)
が出ている。椅子には脱ぎ捨てた羽織をかけた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
油
常用漢字
小3
部首:⽔
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“油”で始まる語句
油
油揚
油断
油然
油壺
油画
油蝉
油斷
油火
油単