“あぶらけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
油気38.5%
脂気26.9%
油氣11.5%
膏気7.7%
膩気7.7%
膏氣3.8%
脂肪気3.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
油気あぶらけも無く擦切るばかりの夜嵐にばさついたが、つやのある薄手な丸髷まるまげがッくりと、焦茶色の絹のふらしてんの襟巻。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれど、一夏、岩木川の氾濫はんらんがあると、全民は打ちのめされて、また二年か三年は、火あぶりになっても税も脂気あぶらけも出ないという領民がたくさん出来た。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは油氣あぶらけのないかみをひつつめの銀杏返いてふがへしにつて、よこなでのあとのあるひびだらけの兩頬りやうほほ氣持きもちわるほどあか火照ほてらせた、如何いかにも田舍者ゐなかものらしいむすめだつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「艶のない手だ、膏気あぶらけのない手だ、青い筋ばかりが這っている」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
薄痘痕うすいものある蒼い顔をしかめながら即効紙の貼つてある左右の顳顬こめかみを、縫ひ物捨てゝ両手で圧へる女の、齢は二十五六、眼鼻立ちも醜からねど美味うまきもの食はぬに膩気あぶらけ少く肌理きめ荒れたる態あはれにて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
療醫の見込も膏氣あぶらけ増長いたし血路けつろを塞循環じゆんくわん致候故、痛所も出來、もし脉路を塞ぎ脈路やぶれ候節は、即ち中風と申ものに候由。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
食は麥飯を少々づつ、其外とり等格別膏氣あぶらけ之なきものを食用にいたし、成丈なるたけ米抔は勿論五穀を不食樣との事に御座候。肉は却而かへつて膏には不相成候由。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
歯が上下ともすつかり抜けて両頬が深い穴の様に落ちけ、皮膚のたるんだ脂肪気あぶらけの抜けた黒味がかつた顔に、二つの大きな眼をぎろ/\させて居る形相ぎやうさうは恐しかつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)