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水泡
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すいほう
ふりがな文庫
“
水泡
(
すいほう
)” の例文
危うし危うし。もし孟達が孔明の
戒
(
いまし
)
めに柔順であったら、事すべてが
水泡
(
すいほう
)
に帰するであろう。まことや能者は坐して千里の先を
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫人はその母君をねたんでいた心も長い時間に忘れていって、自身の子として育てるのを楽しんでいたことが
水泡
(
すいほう
)
に帰したのを残念に思った。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
父の好意は再び
水泡
(
すいほう
)
に帰した。小夜子は
悄然
(
しょうぜん
)
として帰る。小野さんは、脱いだ帽子を頭へ
載
(
の
)
せて手早く表へ出る。——同時に
逝
(
ゆ
)
く春の舞台は廻る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
せっかくの手がかりとなすべき努力も
水泡
(
すいほう
)
に終わったのを知って、空中芸の済むのと同時に、やや思案に余ったかのごとく、ふたたび殺人の現場へ引き返していくと
右門捕物帖:14 曲芸三人娘
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それやこれやで、彼女たちの中の
嫉妬
(
しっと
)
深い者が
目星
(
めぼし
)
をつけられて厳重な
訊問
(
じんもん
)
を受けることになったが、そんな形跡もないことが知れて、此の方面の努力も
水泡
(
すいほう
)
に帰した。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
辛酸五年の労苦が
水泡
(
すいほう
)
に帰したところへ、あらたな力を
抱
(
いだ
)
いて魔境へゆくケルミッシュをみる、ダネックの胸のなかの切なさ。ところへ、二、三日経って二度目の会見が行われた。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「御家老、ことここに及んでは万事休しました。県先生との一切の関りを断つべきです。一刻もなおざりには相成りません。もし処置が後れますと御家老の位置は
水泡
(
すいほう
)
に帰します」
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただ半蔵としては、たといこの過渡時代がどれほど長く続くとも、これまで
大和言葉
(
やまとことば
)
のために戦って来た国学諸先輩の骨折りがこのまま
水泡
(
すいほう
)
に帰するとは彼には考えられもしなかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
翁が特に愛していた、
蝦蟇出
(
がまで
)
という
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
がある。
径
(
わたり
)
二寸もあろうかと思われる、小さい急須の
代赭色
(
たいしゃいろ
)
の
膚
(
はだえ
)
に
Pemphigus
(
ペンフィグス
)
という
水泡
(
すいほう
)
のような、大小種々の
疣
(
いぼ
)
が出来ている。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
実に、
手剛
(
てごわ
)
い。僕たちの悪計もまさに
水泡
(
すいほう
)
に
帰
(
き
)
するかの
如
(
ごと
)
くに見えた。
未帰還の友に
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
影画のようなオォルでも、上げれば、
水泡
(
すいほう
)
と、
飛沫
(
しぶき
)
が、同時に光ります。「いいなア」と誰かが
溜息
(
ためいき
)
をついていました。
漕
(
こ
)
いでいれば、あんなに
辛
(
つら
)
いものでも、見ていれば
綺麗
(
きれい
)
に違いありません。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
全
(
まつた
)
く
水泡
(
すいほう
)
に
歸
(
き
)
したと
思
(
おも
)
はれたので、
今
(
いま
)
は、
其
(
その
)
愛兒
(
あいじ
)
をば
國
(
くに
)
に
獻
(
さゝ
)
ぐる
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
ぬ
代
(
かは
)
りに、せめては
一艘
(
いつそう
)
の
軍艦
(
ぐんかん
)
を
獻納
(
けんなう
)
して、
國
(
くに
)
に
盡
(
つく
)
す
日頃
(
ひごろ
)
の
志
(
こゝろざし
)
を
遂
(
と
)
げんものと、
其
(
その
)
財産
(
ざいさん
)
の
一半
(
いつぱん
)
を
割
(
さ
)
き、
三年
(
さんねん
)
の
日月
(
じつげつ
)
を
經
(
へ
)
て
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それでは、きょうまでの
臥薪甞胆
(
がしんしょうたん
)
、
伊那丸君
(
いなまるぎみ
)
のおこころざし、すべては
水泡
(
すいほう
)
となり、また
世
(
よ
)
の笑われぐさにすぎぬものとなる
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしお千絵殿の身に
異変
(
いへん
)
があったら、すべては
水泡
(
すいほう
)
に帰してしまうがと、彼の心は気が気ではなくなった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸将は光秀のそばを去ると、つづいて
清冽
(
せいれつ
)
の中へ白い
水泡
(
すいほう
)
のすじを作って、続々、徒渉して行った。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“水泡”の意味
《名詞》
水泡(すいほう)
水面などの水の泡。
儚いこと。
無駄になること。
(出典:Wiktionary)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
泡
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“水泡”で始まる語句
水泡銭
水泡集