水中すゐちう)” の例文
其處そこには山椿やまつばき花片はなびらが、のあたり水中すゐちういはいはび、胸毛むなげ黄色きいろ鶺鴒せきれい雌鳥めんどりふくみこぼした口紅くちべにのやうにく。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また獲物えものするどみづつてすゝんでるのを彼等かれら敏捷びんせふ闇夜あんやにもかならいつすることなく、接近せつきんした一刹那せつな彼等かれら水中すゐちうをどつて機敏きびんあみもつ獲物えものくのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
負傷ふしやうなをる、しかし、精巧せいかうじうこはしたならば、それはなをらない。してあのとき中根なかねじうはなしてかへりみなかつたならば、じう水中すゐちうくなつたかもれない。すなは歩兵ほへいいのちうしなつたことになる。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
我鳴がならしつけが、おめかけあはてもせず、たまかんざしくと、ふなばたから水中すゐちう投込なげこんで、さつかみさばいたとおもへ。……どう突伏つゝぷしてうごかぬだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)