此家このいへ)” の例文
積薪せきしんひそかあやしむ、はてな、此家このいへ納戸なんどにはよひからあかりけず、わけて二人ふたりをんな別々べつ/\へやはずを、何事なにごとぞとみゝます。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
○かくて夜もあけければ、村の者どもはさら也きゝしほどの人々此家このいへあつまり来り、此上はとてに/\木鋤こすきもち家内の人々もあとにしたがひてかの老夫らうふがいひつるなだれの処にいたりけり。
至極しごくそゝくさとおちつききが差配さはいのもとにきたりて此家このいへたしといふ、案内あんないして其處此處そここゝ戸棚とだなかずなどをせてあるくに、其等それらのことは片耳かたみゝにもれで、たゞ四邊あたりしづかとさはやかなるをよろこ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「亡くなつた此家このいへの御主人は、何處の御藩中でした」
箪笥たんす長持ながもちはもとよりるべきいゑならねど、長火鉢ながひばちのかげもく、今戸燒いまどやきの四かくなるをおななりはこれて、これがそも/\此家このいへ道具だうぐらしきものけば米櫃こめびつきよし、さりとはかなしきなりゆき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)