ねだい)” の例文
「僕の家は貧乏ですが、ねだいを置く位の所はあります、きたなくておかまいがなけりゃ、ほかへ往かなくってもいいじゃありませんか」
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある晩、竇は友人とねだいを一つにして寝ていた。と、忽ち前の褐衣の内官が来て、王の命を伝えて竇を召した。竇は喜んでついていった。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
陸がねだいの前へ坐って、自分の胸を斬り裂いて腸胃を引き出し、それを一筋一筋整理しているところであった。朱は愕いて言った。
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで夫人は元豊から取りあげてあったねだいもとの処へかえして、更めて寝床をしつらえて注意していた。元豊は自分の室へ入ると婢を出した。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
女は起ってねだいの上にあがった。南はぼんやりそれを見ていた。女は榻にあがって横になるなり、かいまきを取って顔の上から被った。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
王太常おうたいじょうは越人であった。少年の時、昼、ねだいの上で寝ていると、空が不意に曇って暗くなり、人きな雷がにわかに鳴りだした。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ねだい枕元まくらもとの台の上に乱れ箱に入れて洋服やシャツが入れてあるのが見えた。彼はすらりと羽蒲団を横にけだして下におりた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこには虎の皮と狼の皮があって、それを柱にけたり敷いたりしてあったが、他に坐るような腰掛もねだいもなかった。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
老婆はそう言って夫人の前をつくろって、秀英のいる楼上にかいへ往った。楼上には秀英がねだいの上に横になっていた。老婆はずかずかとその傍へ往った。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで二人はねだいを並べて寝た。羅は渓の水で洗ってから瘡の痛みがなくなっていたが、ひと眠りして創へ手をやってみると、もう乾いてかさぶたができていた。
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
桑は心の中で蓮香に感謝したが、しかし鬼病きびょうとは思わなかった。蓮香はその夜から桑のねだいにつきっきりになっていた。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
墓を掘り棺を破って十一娘のしかばねを出し、穴をもとのように埋めて、自分でそれをせおって三娘と一緒に帰り、それをねだいの上に置いて三娘の持っていた薬を飲ました。
封三娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
魏法師は喬生に二枚の朱符しゅふをくれて、一つをかどに貼り一つをねだいに貼るように云いつけ、そのうえで二度と湖心寺へ往ってはいけないと云っていましめた。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
小翠は王の家へ来てからもう三年になっていたが、元豊とは夜よるねだいを別にしていた。夫人はその時から元豊の榻をとりあげて、小翠の榻に同寝ともねさせるようにした。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
と言って、蒲団をまくって見ると儒者の冠をつけた秀才になっていた。彼は起きてねだいの前へ往ってお辞儀をして、自分を殺さなかった恩を謝した。車は
酒友 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
日がもう暮れようとした。夫婦は子供の尸を取りあげ、粗末な葬式をすることにして、近くへいってでてみるとかすかな息が聞えた。二人は喜んでねだいの上へあげた。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
そこにはねだいがあって、髪の黒い、黄いろな顔をした男が、呼吸苦いきぐるしそうにして左枕ひだりまくらに寝ていた。主翁はこれが御病気だと云う伯爵の殿様だなと思った。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある日昼寝をしていると、一人の褐色かっしょくの衣を着た男がねだいの前に来たが、おずおずしてこっちを見たり後を見たりして、何かいいたいことでもあるようであった。とうは訊いた。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
主翁ていしゅねだいの方を見た。夫人の両手が蛇のように男のくびにからみついていた。同時にかすかな女の笑い声が聞えた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで一緒に十一娘の室へ帰って同じねだいに起臥して心ゆくばかり話しあった。十一娘の病気はやがてなおってしまった。二人は約束して姉妹となって、書物も履物も互いに取りかえて着けた。
封三娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
いっしょに室の中へ入って嬰児あかんぼのいるねだいの傍へ往き、拇指で嬰児の鼻をなでて、増寿ぞうじゅという名をつけた。
竹青 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
主翁はしかたなくねだいの方へ歩いて往った。歩きながら何人たれかに眼を覚まされて見られては大変なことになると思った。彼の足は何を踏んでいるのか判らなかった。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして家へ帰った孫は、すぐねだいの上にあがって寝たが、終日起きなかった。家の者が気をつけてみると酔ったように解らなくなっていた。呼び起しても醒めなかった。
阿宝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「一つを門へ貼り、一つをねだいへ貼るがいい、そして、これから、二度と湖心寺へ行ってはならんよ」
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「一つを門へり、一つをねだいへ張るが好い、そしてこれから、二度と湖心寺へ往ってはならんよ」
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、夜になってねだいの上に横になっても、女の白い顔がすぐ前にあるようで睡られなかった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
酒の後で二人はねだいを並べて寝た。焦生はすぐ眠られないので昼の虎のことを考えていた。と、寝室のを荒あらしく開けて、赤い冠をつけ白い着物を着た老人が入ってきた。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで孔生は泊ることにして少年とねだいをともにして寝たが、朝になってまだうす暗いうちに僮子こぞうが来て炭火を室の中できだしたので、少年はさきに起きて内寝いまへ入ったが
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
王は不思議に思って見ていると、女の子は静かにねだいの上へあがって、自分に寄添うた。
蘇生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
曾はくたびれたのでねだいの間に寝た。二人の使者が天子の手ずから書いたみことのりを持ってきたが、それには曾太師を召して国計を決すとしてあった。曾は得意になって大急ぎで入朝した。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
喬生が人間の骸骨がいこつと抱き合ってねだいに腰をかけていたが、そのとき嬉しそうな声で何か云った。老人は怖れて眼前めさきが暗むような気がした。彼は壁を離れるなり寝床の中へもぐりこんだ。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もし人が神の怒りにふれるようなことがあると、その家はきっと不思議なことがあって蛙がたくさんきてつくえねだいであそんだり、ひどいのになるとなめらかな壁を這いあがったがちなかった。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
青年が起つと仙妃も起って、そのまま青年をれて往った。侍女達は手に手に綺麗な燈を持って案内した。そこは珍しい織物を張り詰めた狭い室で、みどりとばりの中には紅い花のようなねだいがあった。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その人が周のねだいの前へ来るなり、いきなり周の首を斬って、手に持っていた首とえて行ったので、周はびっくりしてお父さんの足にだきつき、大声をあげたから眼が覚めたのです、眼を覚して
そこに二重門があって、それを入ると錦繍のとばりをしたへやがあって、その真中に石のねだいを据え、その上に大きな老猿が仰向けに寝てうんうんと唸っていた。榻の傍には三人の綺麗な女が腰をかけていた。
申陽洞記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
愛卿の霊は泣きながらねだいをおりた。趙も後から送って出た。
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
主婦と道度は青いとばりの陰になったねだいの上へ並んでいた。
黄金の枕 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)