早晩そうばん)” の例文
してみると、何もこの日の成行きとのみ言わず、こういうことは、早晩そうばん何らかの形で現われなければならなかったのかも知れない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
で、わたくしかたしんじています。もし来世らいせいいとしたならば、そのときおおいなる人間にんげん智慧ちえなるものが、早晩そうばんこれを発明はつめいしましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
個人がこういうことをぜひ行いたいと望み、かみほとけに祈れば、その祈願として合理的ならば必ずそれが早晩そうばん達せられると僕は確信する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ソレよりもマダ今の幕府の方がしだ。けれども如何どうしたって幕府は早晩そうばん倒さなければならぬ、ただ差当さしあたり倒す人間がないから仕方なしに見て居るのだ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たのむ所は京都の方の形勢に変化が起って、自然と敵が囲みを解くようになるであろうと云う一事で、その時機が早く来てくれなければ、早晩そうばん城は陥るのであった。
ついては早晩そうばんその女が捕われ、なにがし藩の領分内にはそんな奇怪な人種が棲んでいるなどと云い伝えられては、結局当屋敷の外聞にもかかわることであるから
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「この分で研究が進んで行ったなら、早晩そうばん霊魂も科学の力で説明出来るだろうと思います。」
(新字新仮名) / 小川未明(著)
ただし女としては早晩そうばんおっとを持つべきはずの者なれば、もし妾にして、夫をえらぶの時機来らば、威名赫々かくかく英傑えいけつに配すべしとは、これより先、既に妾の胸にいだかれし理想なりしかど
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
すなわち輿迎こしむかえということは、いずれ早晩そうばんしなければならぬことであるが、それは男の家に新たな主婦が入用になった時のことで、その前は子どもが生まれても妻はなお実家にいたのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あれを人工だと疑い、それを立証しようとした学説には手落があって、結局その学説は負けた。けれどもこういうことが云えるだろう。ああいう夜鳥やちょう早晩そうばん高野山上から跡を絶つかも知れない。
仏法僧鳥 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
葬具そうぐ店は必要欠き難いこと米屋同様だ。いや、パン食をやっていて米屋のお世話にならない連中でも葬儀社の御厄介には早晩そうばんならざるを得ないのだから、白米商よりも更に一層正業だといって差支ない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
早晩そうばん、きっとぼくらは帆影ほかげを沖に発見することができると信ずる
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
『しかしわたくし早晩そうばんれようとおもいますのは、なんだかっておいでになりますか。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「わかりが遅いな。差し手はいかに離れていようとも、刀と刀が求め合って、早晩そうばん一つにならずにはおかねえというのだ。乾雲と坤竜とのあいだには、眼に見えぬ糸が引きあっている」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
理想は早晩そうばん実現せられる
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「だまれッ! いずれ探ればわかること。早晩そうばんこの返報しかえしはするからそう思え」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さりともらぬミハイル、アウエリヤヌイチは、大得意だいとくいで、仏蘭西フランス早晩そうばん独逸ドイツやぶってしまうだろうとか、モスクワには攫客すりおおいとか、うま見掛みかけばかりでは、その真価しんかわからぬものであるとか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)