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早合点
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はやがてん
ふりがな文庫
“
早合点
(
はやがてん
)” の例文
旧字:
早合點
ここが近いからこの辺から渡って来たろうなどと、まるで
飛石伝
(
とびいしづた
)
いのような
早合点
(
はやがてん
)
をする人を、笑ってもよいことになるのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし十六の私は文子がつんとしたは、私の丁稚姿のせいだと
早合点
(
はやがてん
)
してしまい、きゅうに瀬戸物町というものがいやになってしまった。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
物の
理窟
(
りくつ
)
のよく分かる所に
聚
(
あつ
)
まると
早合点
(
はやがてん
)
して、この
年月
(
としつき
)
を今度こそ、今度こそ、と経験の足らぬ
吾身
(
わがみ
)
に、待ち受けたのは
生涯
(
しょうがい
)
の誤りである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お前はいつも気がみじかくて
早合点
(
はやがてん
)
すぎるよ。お前ばかりに、卵をとるために海を泳がせたり、何かいやな目でながめられたりさせやしない。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで同情して、男が誘って
伯父
(
おじ
)
の処へ泊めてもらおうと行く、意気な伯父さん
早合点
(
はやがてん
)
で、「よく取ったよく取った」……こんなことで二人の縁が結ばれる。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
▼ もっと見る
彼はひどい
聾
(
つんぼ
)
なので、
早合点
(
はやがてん
)
の人は彼を
唖者
(
おし
)
だと思い込み、それより落付いた人も彼を
薄鈍物
(
うすのろ
)
だといった。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
相手が、あの
儘
(
まま
)
思い切ったと思ったのは、やっぱり自分の
早合点
(
はやがてん
)
だったと瑠璃子は思った。求婚が一時の
気紛
(
きまぐ
)
れだと思ったのは、相手を善人に解し過ぎていたのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は花が好きですといっても、聞く人によりてはこれを悪意に解し、華美を好むという
印象
(
いんしょう
)
を受けるものもあり、はなはだしきは
物
(
もの
)
いう花と
早合点
(
はやがてん
)
する人さえある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
巳代公が
頷
(
うなず
)
いたと云って
納
(
おさ
)
まって居ると、巳代公は一時間
経
(
た
)
っても二時間経ってもやって来ぬので、往って見ると自分の事をして居たので、始めてとめやの
早合点
(
はやがてん
)
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
作者は日本語を使つて今茲に法廷の模様を写生しつつあるのだから、日本の裁判官の審理振を叙するものとして読者は迎へるかもしれないが、それは読者の
早合点
(
はやがてん
)
である。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
U氏が最初からの
口吻
(
くちぶり
)
ではYがこの事件に関係があるらしいので、Yが夫人の道に
外
(
はず
)
れた恋の取持ちでもした
乎
(
か
)
、あるいは
逢曳
(
あいびき
)
の使いか手紙の取次でもしたかと
早合点
(
はやがてん
)
して
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私は
此
(
これ
)
を読んで、いきなり
唐土
(
もろこし
)
の
豆腐屋
(
とうふや
)
だと
早合点
(
はやがてん
)
をした。……
処
(
ところ
)
が
然
(
そ
)
うでない。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は実は
早合点
(
はやがてん
)
をして竹内さんの好みで古代の服装でも
真似
(
まね
)
て町内の行列へ這入ったのだと思ったことで、竹内さんが学校の教師になっていられることなどは少しも知りませんのでした。
幕末維新懐古談:65 学校へ奉職した前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
奥中将を
訪
(
と
)
う 中将の居らるる所までは二
哩
(
マイル
)
ほどしかないのですが、私がチベット服を着けて居るものですから荷持は
早合点
(
はやがてん
)
をして、ジャパニーズ・ゼネラルの居る所へと
吩付
(
いいつ
)
けたに拘わらず
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
是はいずれもみな信仰に伴なう伝説をもつ樹木巌石の所在地であろうと
早合点
(
はやがてん
)
をして、『郷土研究』に発表してしまった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そう
早合点
(
はやがてん
)
に賛成されては困る。先例のない社会に生れたものは、自から先例を作らねばならぬ。束縛のない自由を
享
(
う
)
けるものは、すでに自由のために束縛されている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところで、これから述べてゆく
其
(
そ
)
の物語の中には、日本人の名前ばかりが、ズラズラと出てくるのだが、読者諸君は、それ等を
悉
(
ことごと
)
く
真
(
しん
)
の日本人だと
早合点
(
はやがてん
)
されてはいけない。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さて、其が
過失
(
あやまり
)
。……愚僧、
早合点
(
はやがてん
)
の先ばしりで、思ひ
懸
(
が
)
けない
隙入
(
ひまいり
)
をした。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と大江山課長は自分のことが問題にされているんだと
早合点
(
はやがてん
)
して、
極
(
きま
)
り
悪
(
わ
)
る
気
(
げ
)
にいった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
神さまでも
手古
(
てこ
)
ずるくらい纏まらない物体だ。しかし自分だけがどうあっても纏まらなく出来上ってるから、
他人
(
ひと
)
も自分同様
締
(
しま
)
りのない人間に違ないと
早合点
(
はやがてん
)
をしているのかも知れない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜しか出て来ぬから夜物は
判
(
わか
)
っているようだが、それが
早合点
(
はやがてん
)
の一種であったことは、簡単に証明し得られる。すなわち鼠の他にもヨモノと呼ばれているものが、まだ幾つも有るのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
主人はようやく刑事が踏み込んだ理由が分ったと見えて、頭をさげて泥棒の方を向いて
鄭寧
(
ていねい
)
に御辞儀をした。泥棒の方が虎蔵君より男振りがいいので、こっちが刑事だと
早合点
(
はやがてん
)
をしたのだろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天のめぐみだとよろこんだのは、怪塔王の
早合点
(
はやがてん
)
のようでありました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
余も
至極
(
しごく
)
御同意である。
然
(
しか
)
し御同意と云うのは大学が結構な所であると云う事に御同意を表したのみで、新聞屋が不結構な職業であると云う事に賛成の意を表したんだと
早合点
(
はやがてん
)
をしてはいけない。
入社の辞
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕の気の短いことは誰でも知っている。その代り
諦
(
あきら
)
めのいいことはまず誰にも負けないし——といってこれは余り自慢になる性格じゃないが——しょっちゅう
早合点
(
はやがてん
)
をして頭を
掻
(
か
)
いてばかりいるのだ。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ただ僕だけは、——こういうとまたあの問題を持ち出したなと
早合点
(
はやがてん
)
なさるかも知れませんが、僕はもうあの事について叔父さんの心配なさるほど
屈托
(
くったく
)
していないつもりですから安心して下さい。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“早合点”の意味
《名詞》
よく聞いたり、よく考察したりしないで、わかったつもりになること。
(出典:Wiktionary)
早
常用漢字
小1
部首:⽇
6画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
点
常用漢字
小2
部首:⽕
9画
“早合”で始まる語句
早合點