断間たえま)” の例文
旧字:斷間
白刃しらはえたような稲妻いなづま断間たえまなく雲間あいだひらめき、それにつれてどっとりしきる大粒おおつぶあめは、さながらつぶてのように人々ひとびとおもてちました。
それが一色いつしきになつてまはる。しろい棺は奇麗な風車かざぐるま断間たえまなくうごかして、三四郎の横を通り越した。三四郎はうつくしいとむらひだと思つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それが一ひら二ひらと断間たえまなく我等の上に散って来る。見れば其処に一二羽の樫鳥が遊んでいるのであった。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
内心の断間たえまなき不安を表はすかの様に、ピクピク顔の肉を痙攣ひきつけさせて居るのはかれの癖であつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
築いても築いても堤防が崩れたり、橋が流れたりする場合においてもまた同様である。ここにおいてか橘媛は走水はしりみずの海に身を投じた。強頸こわくび衫子ころもこは、茨田まんだ断間たえまに身を投じた。
人身御供と人柱 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
常に家にありてわずかに貯えた物を護るに戦々兢々きょうきょう断間たえまなく、いささかの影をも怖れ人を見れば泥棒と心得吠え立つるも、もとこの二十年は犬から譲り受けたのだから当然の辛労である。
後面には彼の印度あたりにありといふ毒蝮どくまむしの尾の鈴、断間たえまなく我が耳に響きたり。
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それからしたはうへかけて、カリフォルニヤがい坂道さかみちを、断間たえまなく鋼索鉄道ケーブルカー往来わうらいするのがえる。地震ぢしんときけたのが彼処あすこ近頃ちかごろてかけた市庁しちやうあれと、甲板かんぱんうへ評定ひやうぢやうとり/″\すこぶやかましい。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
かの歯車は断間たえまなく動けり
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
火の粉を梨地なしじに点じた蒔絵まきえの、瞬時の断間たえまもなくあるいは消え或は輝きて、動いて行く円の内部は一点として活きて動かぬ箇所はない。——「占めた」とシーワルドは手をって雀躍こおどりする。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
断間たえま無しに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
断間たえま無しに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)