散在さんざい)” の例文
石器時代遺跡は琉球より千島に至るまで日本諸地方に散在さんざいする事挿圖中にしめすが如くなるが、是等はおそらく同一人民の手に成りしものなる可し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
雜木林ざふきばやし其處そこ此處こゝらに散在さんざいして開墾地かいこんちむぎもすつとくびして、蠶豆そらまめはな可憐かれんくろひとみあつめてはづかしさうあいだからこつそりと四はうのぞく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
道子みちこはアパートに出入でいりする仕出屋しだしやばあさんのすゝめるがまゝ、戦後せんご浅草あさくさ上野辺うへのへん裏町うらまち散在さんざいしてゐるあや旅館りよくわん料理屋れうりや出入でいりしておきやくりはじめた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
そしてそのころ古墳こふんがあちらこちらにのこつてゐますが、あの旅順りよじゆん西にしにある老鐵山ろうてつざんふもとなどにはふる城壁じようへきがありまして、そのあたりにはふるはかがたくさん散在さんざいしてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こゝかしこに三々五々のバラツクが散在さんざいしてゐたにぎない。巨大きよだいなる建築物けんちくぶつもない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
紫野むらさきの芝原しばはらには、野天小屋のでんこやがけの見世物みせもの散在さんざいしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼等の住居せしあとく諸地方に散在さんざいするは、移住いぢうに原因するか、又は同一時に於ても此所彼所に部落の在りしに原因するか、如何と云ふに、こは何れか一つと限るべきに非ず
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
移住にも因る可く部落ぶらく散在さんざいにも因る可きなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)