うご)” の例文
新字:
短い太皷型たいこがたの石橋を渡ると、水屋みづやがあつて、新らしい手拭に『奉納ほうなふ』の二字を黒々とにじませて書いたのが、微風びふううごいてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
理も枉ぐべからず、智もうごかすべからず、天下の威武を擧げて是れに臨むも如何ともすべからざる也。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たゞなかふくれた。てんなみつてちゞんだ。地球ちきういとるしたまりごとくにおほきな弧線こせんゑがいて空間くうかんうごいた。すべてがおそろしい支配しはいするゆめであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
舟人は俄に潮滿ちと叫びて、忙はしくうごかし始めつ。そは滿潮の巖穴を塞ぐを恐れてなりき。
丘の上には余等の外に人影も無く、秋風がばさり/\かしはの葉をうごかして居る。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
ま白きはねうごかさで
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
はげしくゆすりうごかし、靜にせずば打擲ちやうちやくせむ、といひしが、急に手巾ハンケチを引き出して、我腕を縛りて、しかと其端を取り、さて俯してあまたゝび我に接吻し、かはゆき子なり、そちも聖母に願へ
三四日前さんよつかぜんかれ御米およね差向さしむかひで、夕飯ゆふはんぜんいて、はなしながらはしつてゐるさいに、うした拍子ひやうしか、前齒まへばぎやくにぎりゝとんでから、それがきふいたした。ゆびうごかすと、がぐら/\する。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)