掃部かもん)” の例文
粟屋掃部かもん、益田七内、村上八郎左衛門、石原太郎左衛門、鳥越五郎兵衛、河内太郎左衛門等三十四人の勇士、各々槍を取って踏みこたえた。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
太閤が氏郷を忌んで、石田三成と直江兼続の言を用い、利休の弟子の瀬田掃部かもん正忠に命じて毒茶を飲ませたなどと云うのは、実に忌々いまいましい。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これは、そこにあった藤田伝五と並河掃部かもんの両部隊が、攻口を争って、混み合って来たため、その機先きせんを制した反撃であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある年四月に入って、二尺の余も積ったのは、季節からも、量からも、井伊いい掃部かもんさん以来の雪だ、と村の爺さん達も驚いた。武蔵野はしもの野だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
成田の祇園会ぎおんえを八日で切上げ九日を大手住おおてずみ宿しゅくの親類方で遊びほうけた小物師の与惣次が、商売道具を振分ふりわけにして掃部かもんの宿へかかったのは昨十日そぼそぼ暮れ
一人の井伊掃部かもんが、幕府の頽勢たいせいを支えきれぬように、如何に、一人のみが、傑れておろうとも、周囲に人がなく、天下に勢いがなければ、何事をも為し得ぬものじゃ
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
父という人は三十三ヵ所の観音もうでを思い立って、一人で遠い旅へ迷い出ると、陸奥むつ松島の掃部かもんという男と道中で路連れになった。掃部も観音詣での一人旅であった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今に於て相知あひしれず然る所いま藤兵衞がさして居たる脇差の有からは其方が掃部かもん茂助藤兵衞三人の在家ありか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
井伊の掃部かもん様は桜田門なんか通らなかったら首無し大名なんかにならないで済んだであろうし、キリストやクレオパトラだって今の世に生まれていたら柊林ハリウッドあたりのステージで抱合って
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
喜多村緑之丞ろくのじやう、加藤彌三之丞、金出宿には黒田監物、黒田平吉、林掃部かもん、村山角右衞門、野口左助、喜多村勘解由かげゆ、宰府口には毛利左近、月瀬右馬允うめのじよう衣笠因幡きぬがさいなば、大音六左衞門、菅勘兵衞
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
けだシ典薬寮味原樹、掃部かもん寮大庭ガしょうナリ、摂津ノ国ニいたレバ神崎蟹島かにしま等ノ地アリ、此門連戸、人家絶ユルコトナク、倡女しょうじょ群ヲ成シテ扁舟へんしゅうさおサシ、舶ヲ看撿かんけんシテ以テ枕席ちんせきすすム、声ハ渓雲ヲ過ギ
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
伝右衛門、惣蔵、渡合って各々一騎を切落し、惣蔵更に一騎と引組んで落ち、首を獲る処に折よく小山田掃部かもん、弟弥介来かかって、辛うじて退かしめた。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
物見に交じって、終始、お道先の万一を見とどけては、供奉へ報じていた森掃部かもんの言はもっとも信頼できる。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして肩を並べて行くところ、落人おちゅうどめいた芝居気に与惣次はいい心持にしんみりしてしまったが、掃部かもんへ用達しに行った帰途だとのほか、女は口をとざして語らなかった。
立去んとて雲を霞と駈出しける扨又金兵衞の子分八田掃部かもん練馬ねりま藤兵衞三加尻みかじり茂助の三人はあと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
並河掃部かもん。進士作左衛門、妻木主計かずえなどである。最後に光秀は、老臣斎藤利三としみつ、一族の光春、光忠、光秋などと一緒にすがたをあらわし、中央の床几にった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光秀は、之より先天王山が、気になったので、並河掃部かもん、溝尾勝兵衛の二人を応授にやったが、既に松田の軍破れ松田は討死して、天王山は全く秀吉の手中に落ちてしまっていた。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
今日はいよいよ掃部かもんさまが御大老になるってえ噂じゃありませんか。
公人くにんとは、僧ではない。雑掌ざっしょうの上役とでもいえようか。荘園の貢税みつぎをつかさどる山門の武士である。その掃部かもんは、倉皇として来て、みる灯の遠くに、平伏した。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昌輝まさてる——山県三郎兵衛——内藤修理——原隼人佐はらはやとのすけ——土屋昌次まさつぐ——安中左近あんなかさこん——小幡上総介おばたかずさのすけ——長坂長閑ながさかちょうかん——跡部大炊あとべおおい——松田三河守——小笠原掃部かもん——甘利信康あまりのぶやす——小山田信茂のぶしげ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長尾遠江守——中条越前守——柿崎和泉守——甘糟あまかす近江守——宇佐美駿河守——和田喜兵衛——石川備後びんご——村上左衛門尉義清——毛利上総介かずさのすけ——鬼小島弥太郎——阿部掃部かもん——直江大和守——鮎川摂津守せっつのかみ——高梨政頼——新発田しばた尾張守
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)