拝借はいしゃく)” の例文
旧字:拜借
折角せっかく御親切ごしんせつでおますが、いったんおかえししょうと、ってさんじましたこのおび、また拝借はいしゃくさせていただくとしましても、今夜こんやはおかえもうします
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
くも書かれたり、ゆるゆる熟読じゅくどくしたきにつき暫時ざんじ拝借はいしゃくうとありければ、その稿本こうほんを翁のもととどめて帰られしという。
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
「夫人にお願いがあります。重傷者ができましたから、この車を鳥渡ちょっと拝借はいしゃくしたい」と中国人は丁寧に、だがしつけるような口の利き方をした。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
三太郎猿さんたろうざるはおうちゃくに、十兵衛じゅうべえひざ拝借はいしゃくしてもたれかかりながら、茶色ちゃいろの目をショボショボさせてながめている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また国邑こくゆうにて文武の引立ひきたてといえば、藩士の面々めんめん書籍しょじゃく拝借はいしゃく、馬も鉄砲も拝借なり。借用の品を用いて無月謝の教師にく、これまた大なる便利なり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ハハハ……、わけはありませんよ。あなたのふところから、ちょっとかぎを拝借はいしゃくすればよかったのですからね。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「殿様、ちょっとお顔を拝借はいしゃく……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ではうみ拝借はいしゃくいたします。」
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あいや、御岳みたけ舎人とねりたちに申しあげる。狼藉者ろうぜきものは手まえの友人ゆえ、このほうにて取りおさえますから、しばらくの間、そのご神縄を拝借はいしゃくいたします」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それで母と相談をして、お力を拝借はいしゃくあがったわけなのでございます。どう思召おぼしめしましょうか、父の生死せいしのほどは
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
真証しんしょう間違まちがいなしの、立派りっぱ品物しなものってって、若旦那わかだんなよろこかおながら、拝借はいしゃくおよぼうッてんだ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
で、もうこんなにおそくては、あとの祭りかと思いましたけれど、一番恐ろしいことは、まだ済んでいないかも知れぬと、それを頼みに先生のお力を拝借はいしゃくに伺ったのです。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「うん、誰が乗って来たのだろう、今の我々にはなんといっても絶好ぜっこうの味方だ。拝借はいしゃくしょう」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「はい。すこしばかりおもあまったことがござんして、お智恵ちえ拝借はいしゃくうかがいました」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ご芳志ほうしにあまえて、しばらくのあいだ、まくの一ぐうを拝借はいしゃくつかまつります」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)