-
トップ
>
-
手内職
>
-
てないしよく
親子若くは
夫婦が
僅少の
手内職に
咽ぶもつらき
細々の
煙を立てゝ世が世であらばの
嘆を
発し
候は
旧時の作者が
一場のヤマとする所に
候ひしも
今時は小説演劇を
其の
起因は
大工であつたお
糸の父親がまだ生きて
居た
頃から
母親は
手内職にと針仕事をしてゐたが
送るや
可惜若木の
花におくれて
死ぬべき
病は
癒たるものゝ
僅か
手内職の
五錢六錢露命をつなぐ
術はあらじを
怪しのことよと
尋ねるに
澆季の
世とは
聞くものゝ
猶陰徳者なきならで
此薄命を
月給の八
圓はまだ
昇給の
沙汰も
無し、
此上小兒が
生れて
物入りが
嵩んで、
人手が
入るやうに
成つたら、お
前がたが
何とする、
美尾は
虚弱の
身體なり、
良人を
助けて
手内職といふも六ツかしかるべく