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悲惨
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みじめ
ふりがな文庫
“
悲惨
(
みじめ
)” の例文
旧字:
悲慘
哀れな、賤しげな、怖ろしい、ぞっとするような、
悲惨
(
みじめ
)
な者どもであった。二人は精霊の足許に跪いて、その着物の外側に縋り着いた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
実際、小父さんの周囲にある人達で、学問や宗教に心を寄せるものの
悲惨
(
みじめ
)
さを証拠立てないものは無いかのようであった。哀しい青年の眼ざめ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
不安と焦燥とにオドオドして、昨日より
悲惨
(
みじめ
)
に見えました。意志も何も無くなって了った。そんな人間に見えました。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あゝ、湯が滲みて苦しいこと。………親方、後生だから私を
打
(
う
)
っ
捨
(
ちゃ
)
って、二階へ行って待って居てお呉れ、私はこんな
悲惨
(
みじめ
)
な
態
(
ざま
)
を男に見られるのが
口惜
(
くや
)
しいから」
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
悲惨
(
みじめ
)
なのは男で、これからは仕立屋の手で出来上つた、
着心地
(
きこゝち
)
の
好
(
い
)
い着物はもう着られなくなつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
自分がこの鏡のなかに織り込まれているときは、春である、豊である、ことごとく幸福である。鏡の
面
(
おもて
)
から自分の影を拭き消すと
闇
(
やみ
)
になる、暮になる。すべてが
悲惨
(
みじめ
)
になる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
可愛い
児供
(
こども
)
の生れた時、この児も或は年を老つてから
悲惨
(
みじめ
)
な
死様
(
しにざま
)
をしないとも限らないから、いつそ今
斯
(
か
)
うスヤ/\と眠つてる間に殺した方が
可
(
いい
)
かも知れぬ、などと考へるのは
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
嬶
(
かかあ
)
は内職、娘は
工場
(
こうば
)
。なぞというような一家となったら。
酷
(
むご
)
さ
悲惨
(
みじめ
)
さ話にならない。介抱どころか、お薬どころか。すぐにそのまま一家が揃うて。
顎
(
あご
)
を天井に吊るさにゃならぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
江戸人は
瓦解
(
がかい
)
と一口にいうが、その折
悲惨
(
みじめ
)
だったのは、重に士族とそれに属した有閑階級で、町人——商人や職人はさほどの打撃はなかった。
扶持
(
ふち
)
に離れた士族は目なし鳥だった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ところで鉤が合えば面白いように釣れますが、合わないと来た日にはこれくらい
悲惨
(
みじめ
)
なことはありません。隣の人が矢継早に釣り上げるのに此方は盥の中へ糸を下していると同様です。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さすればよしやお糸が芸者になったにした処で、こんなに
悲惨
(
みじめ
)
な目に
遇
(
あ
)
わずとも済んだであろう。ああ実に取返しのつかない事をした。一生の方針を誤ったと感じた。母親が急に憎くなる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
出しには出しても、出した荷は山と積まれたまま焼けてしまうのですから、誰も
彼
(
か
)
も
生命
(
いのち
)
からがら、ただ身一つになって、風呂敷包み一つも持たず逃げ出したもの……実に
悲惨
(
みじめ
)
なことでありました。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
滅茶々々に圧潰されたシルクハットが一段と
悲惨
(
みじめ
)
さを添えていた。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と云うのは、独身者は
悲惨
(
みじめ
)
な仲間外れで、そう云う問題に対して意見を吐く権利がないと返辞したからであった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
主税
(
ちから
)
のそういう
悲惨
(
みじめ
)
な努力を、皮肉と嘲りとの眼をもって、憎々しく見ていた
頼母
(
たのも
)
は云った。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さすればよしやお
糸
(
いと
)
が芸者になつたにした
処
(
ところ
)
で、こんなに
悲惨
(
みじめ
)
な目に
遇
(
あ
)
はずとも
済
(
す
)
んだであらう。あゝ
実
(
じつ
)
に
取返
(
とりかへ
)
しのつかない事をした。一生の方針を
誤
(
あやま
)
つたと感じた。母親が急に
憎
(
にく
)
くなる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
氏の養父松本重太郎氏が老年になつてあゝした
悲惨
(
みじめ
)
な境涯に陥つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そうしてそれが解った時から、お前は
悲惨
(
みじめ
)
な人間となろう。恐ろしい恐ろしい『
業
(
ごう
)
』の姿がまざまざお前に見えて来よう。世にも不幸な人間とは、
他
(
ほか
)
でもないお前の事じゃ。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いやもうその点から云う時は、
悲惨
(
みじめ
)
な人種でございますよ。全くもって下等な人種で。お話にも何んにもなりゃあしません。戴くものなら夏も小袖、何んでも頂戴致します。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
江戸三界、八百八町、どこを見ても生色なく、
蠢
(
うごめ
)
くものは飢えた人、餓えた犬猫ばかりであったが、わけても本所深川辺りは当時の盛り場であっただけ
悲惨
(
みじめ
)
さは一層目に立った。
開運の鼓
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
紅玉
(
エルビー
)
を失った張教仁の、その後の生活は
悲惨
(
みじめ
)
であった。燕楽ホテルの自分の室で、じっと悲嘆に暮れるのでなければ、
北京
(
ペキン
)
の市街を夜昼となく、
紅玉
(
エルビー
)
を探して
彷徨
(
さまよ
)
うのであった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この方にこそ怨みがある! ……この
悲惨
(
みじめ
)
な境遇に、おとしいれた元兇こそ、あの
悪婆
(
あくば
)
じゃ、鬼火の姥じゃ! ……その眷族というからには、何んのおのれら許そうや! ……が
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浮藻はちょっとばかり
躊躇
(
ちゅうちょ
)
したが、一刻も早く小次郎に逢いたい、この要求があったので、
由緒
(
ゆいしょ
)
ありげでもあり
悲惨
(
みじめ
)
でもある、女乞食の身について、一応たずねたくは思ったものの
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ピカソ
辺
(
あた
)
りの表現派絵画と脈絡通ずるとまで持て
囃
(
はや
)
されているが、それは大正の今日のことで、北斎その人の活きていた時代——わけても彼の壮年時代は、ひどく
悲惨
(
みじめ
)
なものであった。
北斎と幽霊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし俺は
衰弱
(
よわ
)
っている。これほどの
姦策
(
かんさく
)
をたくらむ奴だ、どんな用意がしてあろうも知れぬ。あべこべに討たれたら
悲惨
(
みじめ
)
なものだ。……さてここにある横穴だが、何んとなく深いように思われる。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
惨
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“悲惨”で始まる語句
悲惨な
悲惨事