ちょう)” の例文
「待て待て、玉蘭——」と、ちょう総督は呼びとめて「ついでに、みなの杯へ、酒をついで廻るがいい。武松にも、もっとすすめてやれい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなたはあのダイヤモンドをねらっているのね。けれどもあのダイヤモンドだって、いわくつきの代物よ。ちょうさんのものをあなたのお父さんが……」
宝石の序曲 (新字新仮名) / 松本泰(著)
徳化県とくかけんの県令をしていたちょうという男は、任期が満ちたのでたくさんの奴隷どれいれ、悪いことをして蒐めた莫大な金銀財宝を小荷駄にして都の方へ帰っていた。
賭博の負債 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昭義しょうぎの地方に旅寝して、ある夜ある駅に泊まって、まさに足をすすごうとしているところへ、淄青しせいちょうという役人が数十人の供を連れて、おなじ旅舎へ乗り込んで来た。
このとき程済は辛くもかたみを砕き得て、篋中きょうちゅうの物を取出とりいだす。でたる物はそも何ぞ。釈門しゃくもんの人ならでたれかは要すべき、大内などには有るべくも無き度牒どちょうというもの三ちょうありたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「友人のちょうは、困難なことをやりとげる男ではあるが、まだ仁者だとはいえない。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
殊に原本は十五、六行の蠅頭ようとう細字で認めた一年一冊およそ百余ちょうの半紙本である。アレだけの著述をした上にこれだけの丹念な日記を毎日怠らず附けた気根の強さ加減は驚くに余りある。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
槍が五十筋、弓が百ちょう、ええと太刀が五百振りか。……それから鉄砲が六十挺に、地雷弾が八十個かな。……さあさあ矢尻やじりをとぐがいい、つるを張ったり弦を張ったり。……貝とかねとは大丈夫かな。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
糸が一ちょうするたびに、みなはハッときもをひやした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
一等運転士は、中国人のコックのちょうをゆびさした。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
集まった銀細工師の姚次ようじ、葬具屋のちょう四郎、酒屋の胡正こせい、菓子屋のちょうじいさんなど、どれもこれもただ、眼をまじまじ、硬くなっているだけだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洪州の州学正しゅうがくせいを勤めているちょうという男は、元来刻薄こくはくの生まれ付きである上に、年を取るに連れてそれがいよいよ激しくなって、生徒が休暇をくれろと願っても容易に許さない。
はくと申します、私の家は白三班はくさんぱんで、私は白直殿はくちょくでんの妹でちょうと云う家へかたづいておりましたが、主人が歿くなりましたので、今日はその墓参をいたしましたが、こんな雨になって、困っているところを
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ちょうの白状
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
近ごろその軍団長のちょうという将軍が、東潞とうろ州から赴任してきた。さらに、その張将軍が腰巾着こしぎんちゃくとして連れて来た男もある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天満てんまのお屋敷で伺いましたので。はい、常木様がおっしゃいました。伝書鳩を古く使ったのはたしかからちょうれいが元祖じゃ、一八郎が初めではないと」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十ちょうの弩弓を張って、それぞれ弩弓手を配しておき、姿は、幔幕まんまくをめぐらしておおい隠し、周瑜や魯粛などの大将たちは、わざと鼓楽を奏して、敵の眼をくらましながら、徐々
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いなごの飛ぶような唸りは百ちょういしゆみつるを切って放ったのであった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)