引捕ひつとら)” の例文
犬達を押しのけて、真黒まつくろな着物の男を引捕ひつとらへました。調べてみると懐に一杯お金をつめこんでゐます。泥坊どろばうなんです。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
しやれ某し是より直樣油屋へ踏込ふみこんで久兵衞とか云ふ奴を引捕ひつとらへて聞糺きゝたゞくれんとおびしめなほして立上りたり後藤は元來ぐわんらい仁心じんしんふか正直しやうじき正路しやうろの人なれば斯の如き事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其奴そいつ引捕ひつとらへてれようと、海陸軍かいりくぐん志願しぐわんで、クライブでん三角術さんかくじゆつなどをかうじて連中れんぢうが、鐵骨てつこつあふぎ短刀たんたうなどを持參ぢさん夜更よふけまで詰懸つめかける、近所きんじよ仕出屋しだしやから自辨じべん兵糧ひやうらう取寄とりよせる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
矢庭やには引捕ひつとらへてくわんうつたへると二のもなく伏罪ふくざいしたので、石の在所ありか判明はんめいした。官吏やくにんぐ石を取寄とりよせて一見すると、これ亦たたちま慾心よくしんおこし、これはくわん没收ぼつしうするぞとおごそかにわたした。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
引捕ひつとら嚴重きびしく吟味ぎんみする成れば早速に相分らんにくやつ仕業しわざかな若しもいつはる時は領主へ訴へ吟味ぎんみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
も云ず忽ち一人の盜賊の腕首うでくびつかんで瀬戸川へ眞逆まつさかさまに投込ば生死しやうしは知れず成にけり後に殘りし惡漢ども我等が仕事の邪魔じやまるなと兩人ひとしくとび掛るを彼男は引捕ひつとらへ汝等は往來にあみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)