居給ゐたま)” の例文
みがきてにはかげも心地こゝちよげなるを籠居たれこめてのみ居給ゐたまふは御躰おからだにもどくなるものをとお八重やへさま/″\にいざなひてほとりちかき景色けしき田面たのもいほわびたるもまた
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あそばすまじきものならず御最愛ごさいあいのお一人娘ひとりごとて八重やへ何分なにぶんたのむぞと嚴格むづかし大旦那おほだんなさまさへ我身わがみ風情ふぜいおほせらるゝは御大事おだいじさのあまりなるべしかれにつけこれにつけづかはしきはひとことりし對面たいめんとき此處こゝ居給ゐたまふとはおもひがけず郷里きやうりのことは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わきかへるなみだ人事ひとごとにして御不憫おいとしぢやうさま此程このほどよりのおわづらひのもとはとはゞなにゆゑならず柔和おとなしき御生質たちとてくちへとてはたまはぬほどなほさらにいとほしおこゝろ中々なか/\ふやうなものにはあらずこのふみ御覽ごらんぜばおわかりになるべけれど御前おまへさま無情つれなき返事へんじもしあそばされなばのまゝに居給ゐたまふまじき御决心ごけつしんぞと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)