奇抜きばつ)” の例文
旧字:奇拔
「それも確かにあったろうね。兎に角奇抜きばつだったよ。茶碗の向う側から飲まなけりゃ承知しないという無法ものだったからね」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
むろんあれも、きみを部屋の中へおびきよせるための奇抜きばつな手だてだったのさ。きみは義侠心ぎきょうしんにとんだ子どもじゃからね。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
最新の科学技術を利用して、奇抜きばつな計画を進めていった。それはどんなものであったか、章をあらためてお目にかけよう。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
男やおんなや、一座の者は、その客の奇抜きばつ恰好かっこうを見ると、ひっくり反って笑った。手をたたき、腹をかかえて、いつ迄も、笑いやまないのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかも曲っていらあ」「少し猫背ねこぜだね。猫背の鼻は、ちと奇抜きばつ過ぎる」と面白そうに笑う。「おっとこくする顔だ」と主人はなお口惜くやしそうである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(仁王門に住むとは今から考えたら随分奇抜きばつです。またそれを見ても当時浅草寺の秩序がなかったのがわかります。)
寺内の奇人団 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
如何いか奇抜きばつがつた所が、せめて此処ここまではぎつけてゐないと、どうも僕等素人しろうとには、ちと新しい日本画としてのレエゾン・デエトルが覚束おぼつかないかと思ふ。
西洋画のやうな日本画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「イヤ、これはどうも恐れいった。お奉行様が小倉の袴の股立ちをとって、六尺棒をしゃにかまえて、夜風に吹かれて立ってるかッてンだ。相当奇抜きばつな娘だナ、こいつは」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
察するにあの活溌かっぱつな飛乗りの運動に合体がったいしたのが後の進化であって、最初はまず唱えごとの耳新しさが、小さな人たちの興味を誘うたので、それがまた奇抜きばつな文章言葉の
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奇抜きばつな案でなければいけないだろう、などという考えにとらわれないで、実際君らが、君ら自身の生活に必要だと思っていることを、正直に提案ていあんしてもらいたいと、私は思っている。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
『これは奇抜きばつだ。』と院長いんちょう満足まんぞくあま微笑びしょうしながら、両手りょうてこすこすう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
中島はちょっと見るとそうぞうしい男だが、弁護士べんごしより裁判官さいばんかんがいい、新聞記者よりは学校の教員のほうが安全だというぐらいだから、その気風も知れてる。したがって議論も奇抜きばつではない。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
嶄新ざんしん奇抜きばつな方法を発見したいためなんです。
さてここで、さきにかかげた博士の日記ふうの随筆にもどるが、その内容は、さほど奇抜きばつすぎるというものではない。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
南洋の蛸狩はいかな敬太郎にもちと奇抜きばつ過ぎるので、真面目まじめに思い立つ勇気も出なかったが、新嘉坡シンガポール護謨林ゴムりん栽培などは学生のうちすでに目論もくろんで見た事がある。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
フオツシユ将軍が信者になる。——と云ふやうな次第だから、小説の方へも超自然の出来事が盛にはひつて来たのは当然です。この種の小説を読んで見ると、中々奇抜きばつな怪談がある。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの声あの飛び方の奇抜きばつなるは別として、その羽毛の彩色に至っては、確かに等倫とうりんを絶している。これは疑う所もなく熱帯樹林の天然から、小さき一断片の飛散とびちってここにあるものである。
『喧嘩渡世』——という、奇抜きばつな看板をあげた千本格子こうしの家。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
奇抜きばつだね。しかし、すこぶる野蛮だよ。」
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
更に奇抜きばつな一案を提出した。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
名主一名お玄関様という奇抜きばつな尊称を父親はちょうだいしてさかんにいばっていたんだろう。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なんという奇抜きばつな計画であろう、またなんというおそろしいことであろう。もしもそんなことができたなら、人間の立場はあやうくなる。蜂矢の背すじにつめたい戦慄せんりつが走った。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あやしい影は、隆夫が目を白黒するのもかまわず、奇抜きばつな相談をぶっつけた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さあそこで奇抜きばつな問題を出すぞ。この答案がうまく出来れば試験パスじゃ。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは博士の作るものが、あまり奇抜きばつすぎたためであった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
奇抜きばつな推理
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)