天道てんたう)” の例文
天道てんたうといふものはありがたいもんだ。春は赤く夏は白く秋は黄いろく、秋が黄いろになると葡萄ぶだうは紫になる。実にありがたいもんだ。」
土神と狐 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「晦日に近くて月が無いといふのは、何んといふ有難い天道てんたう樣の覺し召しか、曲者は二階から飛降りて、路地の闇に姿を隱してしまつた相で」
「ぢやあ、最後に殘された田圃は結局どうなるんです? そりやお天道てんたうさん任せよりほかに仕樣がないんですか?」
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
お前はきりしたん伴天連にだまされて居るんではあんまいな。これを見さつしやい。お天道てんたうさまも、ほれから囲炉裏のおきも、同じに見えるのがどうか。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
此鏡は天道てんたうさまよりたれにも/\あたへおかるれどもみがゝざればてらさずと、われわかかりし時ある経学者けいがくしやをしへきゝしと、狐のはなしにつけ大学のわなにかけて風諫ふうかんせしは
かほどころか普通あたりまへあつさむいも滿足まんぞくにはおつしやらず、必竟ひつきようあのかたなればこそおはらもたてずにもけず可愛かわいがつてくださるものヽ、だい天道てんたうさまのばちあたらずにはりませぬ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
真赤なお天道てんたうさんが沈まつしやる……三崎の丘から
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天道てんたうさま見て
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「陽氣の良いのはオレのせゐぢやないよ、頼むから少し退いてくれ。草花の芽が一パイに天道てんたう樣に温ためられてゐるんだ」
おもて鹽物しほものやが野郎やらうと一しよに、しゞみしてはあしおよぶだけかつまわり、野郎やらうが八せんうれば十せんあきなひひはかならずある、一つは天道てんたうさまがやつこ孝行かう/\見徹みとほしてか、なりかくなり藥代くすりだいは三がはたら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やあ、えゝら、でつかいお天道てんたうさんだなあ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
天道てんたうさまよ
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「お絹さんが昨夜のうちに行方知れずだ。あんな綺麗な娘の死體が辨慶橋なんかに浮いた日にや、天道てんたう樣も無駄光りだ、大急ぎで出かけませう」
天道てんたうさん
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
「自業自得と言つちや惡いが、町内の綺麗なのを總甞そうなめして、無事に百までも生きちや、天道てんたう樣は無駄光りだ」
天道てんたう樣の下で見ると、決して良い容貌きりやうではありませんが、陽氣で仇つぽくて、調子がよくて、これで厚化粧でもしたら、隨分ガラツ八を面喰はせたことでせう。
「ちよいと待つてくれ、俺達は御用に來てゐるんだ。此處で師匠のしやくで呑んでゐちや、天道てんたう樣に濟まねえ」
天道てんたう樣が許して置く筈は無い、それに、女房や下僕しもべを殺したのは何んとしても勘辨出來ない
などと、娘番附の大關は、まだらな顏を天道てんたう樣に照らされて、見得もたしなみもありません。
「圍ひの中の若旦那も、よく聽いて下さい。どんな事があつたにしても、親御樣に手を擧げては、天道てんたう樣が許しちや下さらない、こんなところに入れられても、人をうらんではなりませんよ」
「八、俺が愚圖々々して居たので、天道てんたう樣がさばいて下すつたよ」