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おほざら
眞中の
卓子を
圍んで、
入亂れつゝ
椅子に
掛けて、
背嚢も
解かず、
銃を
引つけたまゝ、
大皿に
裝つた、
握飯、
赤飯、
煮染をてん/″\に
取つて
居ます。
……しかしお
好み
別誂で
以て、
鳥のブツ
切と、
玉葱と、
凍豆腐を
大皿に
積んだのを
鉄鍋でね、
湯を
沸立たせて、
砂糖と
醤油をかき
交ぜて、
私が
一寸お
塩梅をして
と
七輪の
上を
見計らひ、
風呂敷を
受取つて、
屋臺へ
立ち、
大皿からぶツ/\と
煙の
立つ、
燒きたてのを、
横目で
睨んで、
竹の
皮の
扱きを
入れる、と
飜然と
皮の
撥ねる
上へ
片手づまみの
大皿の
鮨は、
鐵砲が
銃口を
揃へ、めざす
敵の、
山葵のきいた
鮪いのはとくの
昔討取られて、
遠慮をした
海鰻の
甘いのが
飴のやうに
少々とろけて、
蛤がはがれて
居る。