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だいひょう
ふりがな文庫
“
大兵
(
だいひょう
)” の例文
十太夫は
大兵
(
だいひょう
)
の臆病者で、阿部が屋敷の外をうろついていて、引上げの前に小屋に火をかけたとき、やっとおずおずはいったのである。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
太刀物の具がはっきりしないばかりでなく、第一、楠正成という人は
大兵
(
だいひょう
)
であったか、
小兵
(
こひょう
)
だったか、それすら分りません。
幕末維新懐古談:68 楠公銅像の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あの
勢
(
いきお
)
いで、
大兵
(
だいひょう
)
な、卜斎に
踏
(
ふ
)
みつけられたのだから、蛾次郎もギャッといって、ぴしゃんこにつぶれたのはもっともだが。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大兵
(
だいひょう
)
とチビ公、無論敵し
得
(
う
)
べくもない、生蕃はチビ公の横面をぴしゃりとなぐった、なぐられながらチビ公はてぬぐいの
端
(
はし
)
をにぎってはなさない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
本来、このマドロスは
大兵
(
だいひょう
)
でもあり、力も優れていて、拳闘の手も相当に心得ている奴なのでしたけれども、白雲に対してはどうも苦手なのです。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
すると
鏈鎌
(
くさりがま
)
の名人として、客将の間に名を知られた
飛鳥
(
とぶとり
)
左近吾という
大兵
(
だいひょう
)
の男が、四辺をジロリと見廻わしながら
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日ごろ二十何貫の
大兵
(
だいひょう
)
肥満を誇り腕力のたくましいことにかけては町内に並ぶもののない問屋九郎兵衛のごとき人にはことに見張りに働いてもらうこと
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
四
尺
(
しゃく
)
に足らぬ
小
(
こ
)
男にも、六
尺
(
しゃく
)
ちかい
大兵
(
だいひょう
)
にも、一
反
(
たん
)
の反物をもって不足もしなければあまりもせぬ。もっとも仕立の方法によりてはいかようにもなし得られる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
眺める通路の中ほど太子の
船室
(
ケビン
)
と覚しきあたりには、見るから憎々しい
赭
(
あか
)
ら顔の
大兵
(
だいひょう
)
な英人二人がこちらを眺めながら平服の腕を組んで
傲然
(
ごうぜん
)
と語り合っている。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
貝ノ馬介は完全に、すてのすがたを自分の
大兵
(
だいひょう
)
な装束のなかに、悠然としまい込み、すては気味の悪いほどしずまり返った。貝はもう言葉というものを発しなかった。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
筋骨
逞
(
たく
)
ましい
大兵
(
だいひょう
)
肥満の
黒々
(
くろぐろ
)
した巨漢と
振袖然
(
ふりそでぜん
)
たる長い羽織を着た薄化粧したような美少年と連れ立って行くさまは弁慶と牛若といおう
乎
(
か
)
、
髯奴
(
ひげやっこ
)
と
色若衆
(
いろわかしゅう
)
といおう乎。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
家長のYは、かの女が落着くとすぐ部屋に
兵児帯
(
へこおび
)
をちよつきり結びにした
大兵
(
だいひょう
)
の体を唐突に運び入れて来て、
衣桁
(
いこう
)
にかけた紅入りの着ものや、
刺繍
(
ししゅう
)
をした鏡台の覆ひをまじ/\と見て
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
三町ばかり先へ落雷でガラ/\/\/\/\ビューと火の棒の様なる物が
下
(
さが
)
ると、丁度
浄禅寺
(
じょうぜんじ
)
ヶ淵辺りへピシーリと落雷、其の
響
(
ひゞき
)
に驚いて、土手の甚藏は、
体
(
なり
)
は
大兵
(
だいひょう
)
で度胸も
好
(
い
)
い男だが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
有情無形
(
うじょうむぎょう
)
」と大書した
横額
(
よこがく
)
の下に、大身の客のまえをも
憚
(
はばか
)
らず、厚い
褥
(
しとね
)
にドッカリあぐらをかいている、
傲岸不遜
(
ごうがんふそん
)
、
大兵
(
だいひょう
)
の人物、これが源助町乱暴者の隊長とでもいうべき神保造酒先生で
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
卑
(
いや
)
しくどっとさざめき嘲けった声と共に、にったり笑いながら現れたのは杉山と言われた
大兵
(
だいひょう
)
の門弟でした。得物はそのタンポ槍、未熟者の習い通り、すでに早く焦って突き出そうとしたのを
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
雲岳女史は
村井弦斎
(
むらいげんさい
)
が書いた新聞小説の中に出て来る
大兵
(
だいひょう
)
な女傑です。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
お供が提灯を持って先に立ち、真中に立派な羽織袴の武士、それにつづいて若党と見ゆる
大兵
(
だいひょう
)
な男の三人づれが、この庚申塚の前を通りかかって
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この人は見上げるほどの
大兵
(
だいひょう
)
で、紫の
打紐
(
うちひも
)
で大たぶさに結い、まち
高
(
だか
)
の袴に立派な
大小
(
だいしょう
)
を差して、
朴歯
(
ほおば
)
の
下駄
(
げた
)
を踏み鳴らし、見るからに武芸者といった立派な風采。
幕末維新懐古談:26 店初まっての大作をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
大兵
(
だいひょう
)
のコーブをみごとにはねかえした、かえされたコーブもさるもの、
地力
(
じりき
)
をたのみにもうぜんと
襲来
(
しゅうらい
)
した、その右手には、こうこうたる
懐剣
(
かいけん
)
が光って、じりじりとつめよる足元は
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
六尺近い、
大兵
(
だいひょう
)
の峰丹波である。そう太い声で言って、にっと
微笑
(
わら
)
った。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
辻の中央に黒々と、
大兵
(
だいひょう
)
の武士の姿が見える。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
男妾の浅吉の必死の力を、さしも
大兵
(
だいひょう
)
の後家さんが、とうとう突き飛ばしきれず、それに取押えられてしまいました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なるほど、六尺豊かの歩兵さんとはよく言った、名実相叶うている、よくもこう
大兵
(
だいひょう
)
ばかり
揃
(
そろ
)
えたものだ、この点、また少々感心ものだと見ていると
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いま道場の真中で行われつつある稽古か試合か、一方はすぐれて
大兵
(
だいひょう
)
な男、一方はまだ十五六の少年。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もう数十人の稽古者が集まって、入りかわり立ちかわり、師範か代稽古か知らないが、
大兵
(
だいひょう
)
の男を中心にぶっつかっている。他の隅々には、それぞれドングリ連が申合いの試合をしている。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
竜之助はかの
大兵
(
だいひょう
)
の男よりは、この少年に眼をつけざるを得なかった、というのは、あとの「すくい胴」はとにかく、前の足をはずす巧妙さ、自分にも覚えがあるが、柳剛流の足は
難物
(
なんぶつ
)
で
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは白雲が
大兵
(
だいひょう
)
の男であるのに、駒井の普通の
丈
(
たけ
)
は合わず、ことに着慣れない筒袖が、見た眼よりも着た当人を勝手の悪いものにして、ちょいちょい肩をすぼめてみる形が駒井を笑わせる。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
第一その斬り手は
大兵
(
だいひょう
)
ではなかったこと、むしろ
小兵
(
こひょう
)
の男で、覆面をしていたこと、斬った後に
失策
(
しま
)
った! というような叫びを残して行ったこと、その声は細い声であったというようなこと
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“大兵”の意味
《名詞1》
弓を引くのが強いさま。また、そのような人。
体が大きいさま。また、そのような人。
《名詞2》
兵士の数が多いこと。大軍。
(出典:Wiktionary)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
兵
常用漢字
小4
部首:⼋
7画
“大兵”で始まる語句
大兵肥満
大兵庫屋