“周章(あは)” の例文
此時(このとき)不意(ふい)に、波間(なみま)から跳(をど)つて、艇中(ていちう)に飛込(とびこ)んだ一尾(いつぴき)の小魚(こざかな)、日出雄少年(ひでをせうねん)は小猫(こねこ)の如(ごと)く身(み)を飜(ひるがへ)して、捕(と)つて押(おさ)へた。『に、逃(にが)しては。』と私(わたくし)も周章(あは)てゝ、其(その)上(うへ)に轉(まろ)びかゝつた。
船長(せんちやう)は周章(あは)てゝ起上(おきあが)つたが、怒氣(どき)滿面(まんめん)、けれど自己(おの)が醜態(しゆうたい)に怒(おこ)る事(こと)も出來(でき)ず、ビール樽(だる)のやうな腹(はら)に手(て)を當(あ)てゝ、物凄(ものすご)い眼(まなこ)に水夫(すゐふ)共(ども)を睨(にら)み付(つ)けると、此時(このとき)私(わたくし)の傍(かたはら)には鬚(ひげ)の長(なが)い、頭(あたま)の禿(はげ)た
實(じつ)は、少年(せうねん)と共(とも)に、只(たゞ)一口(ひとくち)に、堪難(たえがた)き空腹(くうふく)を滿(みた)したきは山々(やま/\)だが、待(ま)てよ、今(いま)此(この)小(ちい)さい魚(うを)を、周章(あは)てゝ平(たいら)げたとて何(なに)になる、農夫(のうふ)は如何(いか)に飢(うゑ)ても、一合(いちごう)の麥(むぎ)を食(く)はずに地(ち)に播(ま)いて一年(いちねん)の策(はかりごと)をする