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呆
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あ
ふりがな文庫
“
呆
(
あ
)” の例文
何やら、謎めいた言葉に、お小夜も、甚三郎もやや
呆
(
あ
)
っ気にとられていたが、平四郎が逃げる気と勘づいたので、はっとしながら
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新子は、夫人が更に何を云い出すのかと、
呆
(
あ
)
っ気に取られて、夫人の顔を、ぼんやり見上げていると
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
何
(
いづ
)
れ一度は
御厄介
(
ごやつかい
)
になりますが聞いて
呆
(
あ
)
きれらア、ハヽヽヽヽ」「ハヽヽヽヽヽヽ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
鷺太郎が、
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられている
間
(
あいだ
)
に、もう畔柳博士は春生を連れて、
漸
(
ようや
)
く濃くなって来た夕闇の中を、進んで行った。それは恰度、ゆうべの悪夢の復習のように、そっくりであった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
あの人を喰った顔をみてると、僕は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられてしまいます。あまりみごとなとぼけ顔にぼんやりして了うのです。手も足も出なくなるって言う言葉がありますが、こんなんだと思いますね。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
▼ もっと見る
僕は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられましたから、トックにその理由を尋ねようとしました。が、トックも興奮したとみえ、椅子の上に突っ立ちながら、「クラバック、弾け! 弾け!」とわめきつづけています。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
呆
(
あ
)
つ
氣
(
け
)
にとられて
百姓
(
ひやくしやう
)
は
鸚鵡:(フランス)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
「落着きなさい。……
痴情
(
ちじょう
)
の
業
(
わざ
)
のするところだ、
醒
(
さ
)
めた後では、己れの心が、己れでもわからないほど、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
ないものになってくる」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
毛虫は薄いトタン屋根の上にかすかな音を立てたと思うと、二三度体をうねらせたぎり、すぐにぐったり死んでしまいました。それは実に
呆
(
あ
)
っ気ない死です。同時にまた実に世話の無い死です。——
手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
に取られたまま忘れてしまったものか、お帰りには誰か付けて送らせる——といった筈だが彼が門を去っても、送って来る者はない。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
僕は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられたまま、しばらくは身動きもしずにいました。河童もやはり驚いたとみえ、目の上の手さえ動かしません。そのうちに僕は飛び立つが早いか、岩の上の河童へおどりかかりました。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
藤吉郎は、初めのうち、ちょっと
呆
(
あ
)
っけにとられた顔をしていたが、ははアと何かうなずくと、図ぼしを指すようにいった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに、
怯気
(
おじけ
)
に襲われ、最初の気勢を失ってしまった他の山伏たちは、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられて、魔王弁円のすさまじい後ろ姿を、ただ見送っている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから、ここではいい
商
(
あきな
)
いも出来たが、来始めの二、三年は、この土地の人間の
気質
(
きだて
)
というものが分らなくて、清吉は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
に取られてばかりいた。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千人の商人のうちには、ひとりぐらいはそんなのもあるだろうが、人間の本性は、そんな
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
ないものじゃない。おまえにもその性根はあるだろう。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あしたの朝になったら、さだめし
呆
(
あ
)
ッ気に取られて、ゆうべ吹いた笛吹きの名人は、狐か狸じゃなかッたかと、大騒ぎをして戸惑いをしやがるだろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
原士たちは
唖然
(
あぜん
)
として、棒を飲んだようになっていた。一角も
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられて、いうべき言葉を忘れている。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
皆、
呆
(
あ
)
ッ気にとられて、猿の顔を見まもったが、その日から何だか少しずつ、ここの闇が明るくなり出した。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男は、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられた顔をして、目や、鼻や、口を、異様に動かしたが、うんともすんとも言わなかった。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられたような顔して、露八は、歩くことも、お菊ちゃんに答えることも、忘れているのだった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
呆
(
あ
)
っ気にとられる博労の男の手へ、一枚の小判を落として、三人はぶらりと外へ出て行きました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
場所が場所なので、満堂の人は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられ、あれよあれよと興ざめ顔に見ていたが、禰衡はすましたもので、赤裸のまま、ふたたび鼓を取って三
通
(
つう
)
まで打ち囃した。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はやくせい、女房。なにを
呆
(
あ
)
っけにとられている。
刻
(
とき
)
を争うほど、重い怪我人じゃ。手当次第で助かるかもしれぬ。寝床? ——どこでもよいわ、はやく静かな所へ」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、叫んだ声や
眼
(
まな
)
ざしのただならぬ
烈
(
はげ
)
しさに、家臣たちが、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられたこともあった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
符牒
(
ふちょう
)
の呼び値が
懸
(
かか
)
りだすと、伊太利珊瑚の値は一躍百両を越えて百五十両の台になり、さすがな、買い方も
呆
(
あ
)
ッけにとられて口を
緘
(
つぐ
)
んでしまったと思うと、金吾のうしろから
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄蕃や近習が
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられている間にである。つつつと、奥の一室へかくれてしまった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして口へ持って来て横に
咥
(
くわ
)
えると、初めて
呆
(
あ
)
っけにとられている老小使へ返辞をした。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここへ来て、彼らは初めて曹操の魏王宮を見、その華麗壮大なのに、
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
番士たちは、
呆
(
あ
)
ッけにとられた。眼のくらんだ
蜻蛉
(
やんま
)
のように、武蔵は飛んでゆくのだ。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、彼らが
呆
(
あ
)
っ気にとられた刹那に、妻の体を引っ抱えて、さっと廻廊の角まで身を避け、次に彼らがどんな
陣容
(
じんよう
)
を盛り返してかかってくるかと、身構えをとって睨んでいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでにその
権
(
けん
)
まくからして只ならないものがある。往来の者は、
呆
(
あ
)
ッ気にとられて
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その自責からする
折檻
(
せっかん
)
は、又八を撲った数よりも遥かに多い。又八は
呆
(
あ
)
っけにとられていたが、青ぶくれになった虚無僧の額から血がにじみ出て来たので、止めずにいられなくなった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられているのを後にして、お光さんは活溌に、石段の降り口へ向って歩き出した。——そこへトム公が駈け上って来た。トム公を見るとお光さんは、姉のように手を伸ばした。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほかの蛮将や土人の衛兵なども、事の不意に、ただ
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お蔦は、
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられたように、庄次郎の背へ、眼をみはった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
(
あ
)
っ気にとられた友達の顔を下に
措
(
お
)
いて、彼は起ち上っていた。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられている四郎次を、やがて仲間の者が囲んで
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
任原の弟子数百人は、一瞬、
呆
(
あ
)
ッけにとられていたが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
露八は
呆
(
あ
)
っ
気
(
け
)
にとられながらしみじみと感心した。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
羅門塔十郎は、
呆
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられた顔つきで
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呆
漢検準1級
部首:⼝
7画
“呆”を含む語句
痴呆
呆然
呆気
阿呆
寝呆
呆痴
呆痴者
呆返
阿呆鳥
阿呆顔
痴呆性
阿呆面
痴呆者
癡呆
痴呆奴
呆々
呆作
呆氣
空呆
阿呆陀羅経
...