“怯気”のいろいろな読み方と例文
旧字:怯氣
読み方割合
おじけ71.4%
おぢけ14.3%
きょうき8.6%
おくれ2.9%
びく2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを見ると、矢部はすっかり怯気おじけづいて、逃げてゆこうとした。宮川は、その手をしっかと握って、自分の傍にひきつけて放さなかった。
脳の中の麗人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
勝てば助勢は出て来る、負ければ怯気おぢけはつく。将門の軍は日に衰へた。秀郷の兵は下総の堺、即ち今の境町まで十三日には取詰めた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
倦怠や郷愁やまた怯気きょうきなどという果てしない迷いは、生命の安全感が比較的多いところに身を置いているときほど執拗しつように作用して来るのだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
任原じんげんもまたそれを見て、「——おや、こいつ、ただ者ではないぞ」と、ちょっと、怯気おくれに似た警戒を心に生じたかのようだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これが、例の戸棚掛の白布しろぬのを、直ぐに使って一包み、昨夜の一刀を上にせて、も一つ白布で本包みにしたのを、薄々沙汰は知っていながら、信心堅固で、怯気びくともしないで、一件を小脇に抱える。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)