怯気おぢけ)” の例文
旧字:怯氣
勝てば助勢は出て来る、負ければ怯気おぢけはつく。将門の軍は日に衰へた。秀郷の兵は下総の堺、即ち今の境町まで十三日には取詰めた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
怯気おぢけのついた彼に取つては試験勉強ほど気分を憂欝にするものはなかつた。現代の試験その物、教育その物に幾分、疑ひをいだかずにはゐられなかつた。
花が咲く (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「吉祥天女を思ひがけんとすれば、怯気おぢけづきて、くすしからんこそ佗しかりぬべけれ。」予はたおやかな原文の調ちょうが、いたずらに柔軟微温の文体に移されず
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)
誰だつてぞうつとして怯気おぢけを震つてしまつたものぢや。
しかし構へを見ただけで、ちよつと怯気おぢけのつくやうな派手々々しい大カフヱも何うかと云ふ気もして、ちやうど「女給募集」の立看板の出てゐるのを力に、いきなり月魄つきしろへ飛びこんだ訳だつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)