怯気きょうき)” の例文
旧字:怯氣
倦怠や郷愁やまた怯気きょうきなどという果てしない迷いは、生命の安全感が比較的多いところに身を置いているときほど執拗しつように作用して来るのだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「敵を知る者は勝つ。怖るべき敵を怖るるは決して怯気きょうきではない。よろしく、都へ人を上せて、曹丞相そうじょうしょうより精猛の大軍を乞い、充分戦法を練って攻めかかるべきであろう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この場合、きそって、門を固めるのは、敗北の自然な心理である。諸所に篝をくいとまをもちながら、門扉をひらいておくのは、彼に怯気きょうきなく、沈着のある証拠といえよう。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)