口早くちばや)” の例文
……「やあ」と洋杖ステツキをついてまつて、中折帽なかをればうつたひとがある。すぐにわたし口早くちばや震災しんさい見舞みまひ言交いひかはした。花月くわげつ平岡權八郎ひらをかごんぱちらうさんであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とお嬢様は口早くちばやに云つた。山崎は目で点頭うなづいて駆けて行つた。平井は其跡を追つて行かうとした拍子に、手にもつたお納戸なんどのとクリイム色のと二本の傘を下におとした。
御門主 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
不必要ふひつえう勿論もちろん左樣さやう』と王樣わうさま口早くちばやつて、ほも低聲こゞゑ獨語ひとりごとまをされました、『不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——不必要ふひつえう——』とあだかことばもつと發音はつおんされるかを試驗しけんするやうに。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私は余りに駆けたので、急込せきこんで、碌々ろくろく声も出なかったが口早くちばや
黄色い晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、娘は遮るやうに、口早くちばや言葉ことばを続けました。
三つの指環 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
母樣おつかさんうした、うむ、母樣おつかさんは、母樣おつかさんは。」と、見張員みはりゐん口早くちばやたづした。なきじやくりをしいしい
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
余り聞きたく無い事であつたから鏡子は口早くちばやに云つてしまつた。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「えゝ、申兼まをしかねましたが、それの、みちなりませぬ、目上めうへのおかたに、こゝろもうちこんでまよひました、とふのは、對手あひて庄屋しやうやどのの、の、」と口早くちばやひたした。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
茶の間と店の敷居でめて、立ち身のなりで口早くちばやなものの言いよう。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をとこ口早くちばやつゞけて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口早くちばや言足いひたした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)