僧侶そうりよ)” の例文
微賤びせんの一僧侶そうりよ吉宗ぬしの落胤らくいんと稱し政府せいふせまる事急にして其證跡しようせきも明かなれば天下の有司いうし彼に魅入みいれられ既にお世繼よつぎあふがんと爲たりしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母上は、わしが今にきつと偉い僧侶そうりよになると思ひながら、死んでゆかれたのだらう。父上はきつと、わしが父上の志をついでゆくと思はれただらう。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
毛糸けいと手袋てぶくろめ、白足袋しろたびに、日和下駄ひよりげたで、一見いつけん僧侶そうりよよりはなか宗匠そうしやうといふものに、それよりもむしぞく
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天台宗てんだいしゆう寺院じいんは、高地こうちおほまうけてあるが、火山かざんもまた彼等かれらせんれなかつた。したがつてめづらしい火山現象かざんげんしようの、これ僧侶そうりよによつて觀察かんさつせられたれいすくなくない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
そこでO先生を除くほかは、若い浄土宗門の僧侶そうりよであるM君も、それから私も、あの仏法僧鳥の声は人工の声だといふ説に傾きながら帰路についた。時は十時半を過ぎてゐた。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかし壽阿彌の生活の全體、特にその僧侶そうりよとしての生活が、たゞに滑稽のみでなかつたことは、活きた典據に由つて證せられる。少時の刀自の目に映じた壽阿彌は眞面目しんめんぼくの僧侶である。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
もつて功徳くどくちやうと成べきと智化ちけの上人へ桂昌院樣けいしやうゐんさま一位樣御尋おんたづね遊ばされしに僧侶そうりよこたへて申上げるはおよそ君たる人の御功徳くどくにははしなき所へ橋をかけ旅人りよじんのわづらひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お父さんは許してくれると思ひます。お父さんには、わたしの心持はよく解つてゐるのです。お父さん御自身が以前からよく、自分も僧侶そうりよになつて、山の中にでも、閉ぢこもりたいといつてを
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
しかし僧侶そうりよ道士だうしふものにたいしては、何故なぜふこともなく尊敬そんけいねんつてゐる。自分じぶん會得ゑとくせぬものにたいする、盲目まうもく尊敬そんけいとでもはうか。そこで坊主ばうずいてはうとつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「何だ、僧侶そうりよではないか。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)