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侠気
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おとこぎ
ふりがな文庫
“
侠気
(
おとこぎ
)” の例文
旧字:
侠氣
エドワルド、セビルという
侠客
(
おとこだて
)
がございますが、これを
江戸屋
(
えどや
)
の
清次郎
(
せいじろう
)
という屋根屋の
棟梁
(
とうりょう
)
で、
侠気
(
おとこぎ
)
な人が有ったというお話にします。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そは心たしかに
侠気
(
おとこぎ
)
ある若者なりしがゆえのみならず、べつに深きゆえあり、げに君にも聞かしたきはそのころの源が声にぞありける。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「なるほど、いつもながらの
侠気
(
おとこぎ
)
じゃ。恋はすれど意気地もなく、
天蓋
(
てんがい
)
の下に身をかくしている、この弦之丞などは面目ない」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いろは屋文次!
侠気
(
おとこぎ
)
めいた殊勝な名じゃ。さだめてやりおることであろう。そちから厚くねぎらって取らせい」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
利助も取る年でいくらか気が
挫
(
くじ
)
けた上、平次の潔白な
侠気
(
おとこぎ
)
が、何より先に、娘のお
品
(
しな
)
を動かして、今では身内のように付き合っている二人だったのです。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
「いや、纒まるには纒まるだろうが、この頃の若い人達はナカ/\進んでいる。実に駈引がうまい。うっかり
侠気
(
おとこぎ
)
を出して口をきくと、好い馬鹿になる」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「はだしで、髷をくずして、夜みちで、犬に吼えられているのを見ちゃあ、日ごろの
侠気
(
おとこぎ
)
で捨てちゃあ置けねえ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「はい」と浜路嬉しそうに、「ほんとにほんとによい方で、芸人さんではございますが、いやらしいところなどは微塵もなく、
侠気
(
おとこぎ
)
があるのでございますの。 ...
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「は、だんなさまの
侠気
(
おとこぎ
)
におすがりいたしましたら、どんな秘密でもお守りくださいますからと、わたしがおすすめ申しまして、お連れしたんでございますよ」
右門捕物帖:18 明月一夜騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
思切
(
おもいき
)
って坂道を取って
懸
(
かか
)
った、
侠気
(
おとこぎ
)
があったのではござらぬ、血気に
逸
(
はや
)
ったではもとよりない、今申したようではずっともう
悟
(
さと
)
ったようじゃが、いやなかなかの
臆病者
(
おくびょうもの
)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「講釈流で行くと、ここで、岡田小藤次は、
侠気
(
おとこぎ
)
を見せますな。何んにも云わねえ、行って来な」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
こう云うと、たいそう
侠気
(
おとこぎ
)
があるようですが、これをうまく片付けてやれば、屋敷からは相当の礼をくれるに決まっている。時々こういう仕事も無ければ、大勢の子分どもを
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あるいは強くて情深くて
侠気
(
おとこぎ
)
があって、美男で智恵があって、学問があって、先見の明があって、そして神明の加護があって、危険の時にはきっと助かるというようなものであったり
馬琴の小説とその当時の実社会
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
まあ、ともかく、自分が人に苦労をかけただけに、人のために一肌ぬぐことも鼻にかからない俗に
侠気
(
おとこぎ
)
というやつで、これが妙に人気を取返し、期せずして恩返しというやつにありつくものだ。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
分つてみれば結句気のいい女で、
侠気
(
おとこぎ
)
で出しやばりで機嫌買ひで、そのため損ばかりしてゐるやうな性分なのだ。十吉は次第に、この女の歴史には何か不幸があると、そんな風な気がしはじめてゐた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
銀五郎が死の
刹那
(
せつな
)
に、ああまでの熱と
侠気
(
おとこぎ
)
とを見せてすがったればこそ、では——と、お千絵様のために、かれの意思をついで
起
(
た
)
ったのだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いっさいのなぞがその陳述によって解きあかされましたものでしたから、右門の全能力はここに
戛然
(
かつぜん
)
と音を発せんばかりに奮い起こりました。第一はその
侠気
(
おとこぎ
)
です。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
侠気
(
おとこぎ
)
の御気性でよもや世間へ云っては下さりますまいから、段々との御親切ゆえ申しますが、私が
活
(
い
)
きていては夫に済まないと申す訳を一通りお話を致した上からは
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お六というのは、
擦
(
す
)
れっ枯らしと純情と、
侠気
(
おとこぎ
)
と
自堕落
(
じだらく
)
を兼ね備えたような、この社会によくある型の女、不きりょうではあるが、八五郎が強調したほど
醜
(
みにく
)
くはありません。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なんだお前はガブリエルか。相変らず
侠気
(
おとこぎ
)
を出すじゃないか。
伊太利気質
(
イタリーかたぎ
)
っていう奴かな……宿賃を代わって出すっていうなら、誰から貰ったって同じことだ。お前から
其奴
(
そいつ
)
を
死の航海
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
江戸の町人は
侠気
(
おとこぎ
)
に富むと聞く。な、討たせてくれ。公儀へは追って届ける。さすればお前も、義に勇んだかどによってそこばくの下し物に預かるぞ。そこらは必ず俺が計ろう
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
侠気
(
おとこぎ
)
があって、素直で、命がけに惚れ込んで、それでいて、男らしく諦めて——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「第一、
侠気
(
おとこぎ
)
があるね。ほら、二人が三島まで来て、お金が無くなって困っていた時に、あの親方に助けられたんだろう、わたしの三味線がいいから
下座
(
げざ
)
に使ってやると言って、中へ入れてくれたから、お関所も無事に通ることができたんだよ」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
女にも
侠気
(
おとこぎ
)
がある。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
御覧のようにあッしゃ少しばかり
侠気
(
おとこぎ
)
の看板のやくざ者で、神田の
小出河岸
(
こいでがし
)
にちッちゃな
塒
(
ねぐら
)
を構え
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
頓
(
やが
)
て参りましたは
前々
(
ぜん/\
)
から申し上げました西浦賀の女郎屋の弟息子、芸者小兼の
情夫
(
おもいおとこ
)
江戸屋半治が兄の半五郎という、同所では親分筋、至って
侠気
(
おとこぎ
)
のある男ですから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もと
藤沢
(
ふじさわ
)
で相当の宿屋をしていたのが、すっかり失敗して困っていたのを若松屋惣七が、例の
侠気
(
おとこぎ
)
から助け出して、東海道の掛川の宿に、具足屋という
宏壮
(
こうそう
)
な旅籠をひらかせて
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「その代り、神田一番の結構な年増が、飛んだ
侠気
(
おとこぎ
)
な、良い女とわかったじゃないか」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お仙さんには立派な
侠気
(
おとこぎ
)
、そいつがおありなさるので、そいつを利用したこの妾が、自分ながら
穢
(
きたな
)
く見えましてねえ、厭で、厭で、厭で、厭で! ……でももうこうなっては仕方がない
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妙な
侠気
(
おとこぎ
)
が出たり、深雪が好きになったり——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
と、
侠気
(
おとこぎ
)
を出して、乗りこんだものである。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明日
(
みょうにち
)
仙太郎親方の処へ往ってお会いになったら宜しゅうございましょう、なか/\
侠気
(
おとこぎ
)
のお人ゆえ、またお力になる事も有りましょう……旦那様、此の頭巾の裏に白い
布
(
きれ
)
があって
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
吹くことがあればと、見込みがあるつもりでしたことなのだ。
慾
(
よく
)
と二人づれで、やったことなのだ。うふふ、
侠気
(
おとこぎ
)
だの、義理だのという、そんな
洒落
(
しゃら
)
くさいものではない、ははははは
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あッしとても人から
男達
(
おとこだて
)
だの
町奴
(
まちやっこ
)
だのとかれこれ言われて、仮りにも
侠気
(
おとこぎ
)
を看板にこんなやくざ稼業をしておって見れば、決して死ぬのを恐ろしいとも怖いとも命に未練はねえんですが
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
持前の
侠気
(
おとこぎ
)
と喧嘩好きから、この喧嘩屋の夫婦、一生涯の協力を約するのは当然で、ここに、顔形から剣を取っての腕まえまで、いずれも
兄
(
けい
)
たりがたく
弟
(
てい
)
たりがたい神尾喬之助がふたり
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それに就いても
種々
(
いろ/\
)
話があるが、此の浦賀中で私の相談相手というはお前ばかりで、
侠気
(
おとこぎ
)
を見込んでお頼み申してえ事があるが、尤も決して
他
(
た
)
に漏れんように、口外してくれちゃア困るが
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あっしがちっとばかり
侠気
(
おとこぎ
)
を出したんでごぜえますよ
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
小三郎も仙太の
侠気
(
おとこぎ
)
に感服して逢いたいと思う二人が、知らぬ事とは申しながら、仙太郎が
赤樫
(
あかがし
)
の半棒で打込みましたが、武辺の心得ある侍は油断のないもので、片手に番傘を持ったなり
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「よけいな
侠気
(
おとこぎ
)
ってもんだ。悪い
病
(
やめ
)
えだなア」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
丁度其の晩山田川へ筏を組みに参って居りましたのは、市城村の市四郎と云う
侠気
(
おとこぎ
)
の人で、御案内の通り筏乗と申すものは、上州でも多く五町田、市城村、村上
彼
(
あ
)
の辺に
住
(
すま
)
いを致して居ります。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“侠気”の意味
《名詞》
弱者を見過ごすことができず助けようという気持ち。男気。
(出典:Wiktionary)
“侠気(
任侠
)”の解説
任侠(にんきょう、任俠)とは、仁義を重んじ、弱きを助け強きを挫くために体を張る自己犠牲的精神や人の性質を指す語。
また、ヤクザ史研究家の藤田五郎の著述によれば、正しい任侠精神とは正邪の分別と勧善懲悪にあるという。
仁侠(じんきょう)、義侠心(ぎきょうしん)、侠気(きょうき)、男気(おとこぎ)などともいう。
(出典:Wikipedia)
侠
漢検準1級
部首:⼈
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“侠”で始まる語句
侠
侠客
侠氣
侠勇
侠骨
侠者
侠客肌
侠児
侠党
侠賊