トップ
>
余裕
>
ゆとり
ふりがな文庫
“
余裕
(
ゆとり
)” の例文
旧字:
餘裕
余計な文字を
弄
(
もてあそ
)
んでいる
余裕
(
ゆとり
)
が、まったくありませんから、
切迫
(
せっぱ
)
詰まった書き方になって、読みにくいでしょうが勘弁して下さい。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
猫は別に
怒
(
おこ
)
る様子もなかった。
喧嘩
(
けんか
)
をするところを見た
試
(
ため
)
しもない。ただ、じっとして寝ていた。しかしその寝方にどことなく
余裕
(
ゆとり
)
がない。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほとんどが、火に気をとられて、何を顧みる
余裕
(
ゆとり
)
も持たなかったので、若人輩は、難なく花嫁を奪って、土塀の外の濠をも
渉
(
わた
)
ってしまった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その働きぶりには以前に比して、いくらか用意とか思慮とかいう
余裕
(
ゆとり
)
が出来て来た。小僧を使うこと、仕入や得意を作ることも巧みになった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
這麼事
(
こんなこと
)
を考へながら茸を味つてゐると、今日
此頃
(
このごろ
)
ついぞ物を味ひしめるといふ程の
余裕
(
ゆとり
)
が無くなつてゐたのに気が付いた。
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
と、キァッという悲鳴が闇をつんざいて、それが伸子の声であるのも意識する
余裕
(
ゆとり
)
がなく、法水の眼は、たちまち床の一点に釘づけされてしまった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
病身ながら、鶴吉は若い丈けに気を取り直して、前よりも勉強して店をしたが、
籠
(
こ
)
められるだけの力を籠め切つて
余裕
(
ゆとり
)
のない様子が見るに
痛
(
いた
)
ましかつた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
両国の東西橋詰を賑わした、名物の水茶屋も取払われ、月見船はおろか、橋の上から、月を眺めて居るような、心に
余裕
(
ゆとり
)
のある人間さえ一人もありません。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
余裕
(
ゆとり
)
——身にも心にも、生れてはじめてといっていい余裕というものが、ようやく春の日を芽吹く枝々のように生じてきた。いう目が、そこにでてきたのだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
もうこうなると、綾衣も
盲目
(
もうもく
)
になった。末のことなどを見透している
余裕
(
ゆとり
)
はなかった。その日送りに面白い逢う瀬を重ねているのが、若い二人の楽しい恋のいのちであった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
而して渋くて苦い珈琲末は心の心、霊魂の
生地
(
きぢ
)
。匙は感覚。凡て溶かして掻き廻す観相の
余裕
(
ゆとり
)
から初めてとりあつめた哀楽のかげひなたが軟かな思の吐息となつてたちのぼる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
またそれを学問的に説明している
余裕
(
ゆとり
)
もありませぬが、一言にして真理とは何かといえば、それはつまり、いつ、どこでも、何人も、きっと、そう考えねばならぬもの、それが真理です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それは極端だ——よい演劇や、よい写し絵は、われわれの労を慰めた上に、意気を鼓舞し、人間に
余裕
(
ゆとり
)
をつけ、世間を賑わすものだから、よい演劇や、写し絵は、進んで歓迎してもよろしい。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……ただ遊びじゃあ旅銭旅籠銭の
余裕
(
ゆとり
)
はなし、
久
(
ひさし
)
ぶりで姉さんの顔は見たし、いい
幸
(
さいわい
)
に来たんだから、どうせ見世ものなら一人でも多く珍らしがらせに、真新しい処で、鏡の
間
(
ま
)
から顔を出して
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
私
(
わて
)
小山田が討入前といふ大事な晩やのに、ついふらふらと
湯女
(
ゆな
)
の
許
(
ところ
)
へ
往
(
い
)
た、あの
余裕
(
ゆとり
)
のある気持が気に入つてまんね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
でもそういう
余裕
(
ゆとり
)
があれば誰も好んで、自分の親や子を流しはしませぬ、海嘯というのは寝耳に水で、煙草一服する暇にもう一面大海となるのだから
厄払い
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なぜ
一言
(
ひとこと
)
の知らせもなく、東京へ来ているんだろうか? 東京へ来ていながら、知らせてくれもしないのか? もうそんなことは、考える
余裕
(
ゆとり
)
もありません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そして、仕事はろくにせず、すこし
余裕
(
ゆとり
)
があれば、
博奕
(
ばくち
)
、女狂い、喧嘩、手がつけられない人間になった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時分の彼と今の彼とは色々な点において
大分
(
だいぶ
)
変っていた。けれども経済に
余裕
(
ゆとり
)
のないのと、遂に何事も仕出かさないのとは、どこまで行っても変りがなさそうに見えた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おそらくはあまりしかつめらしい空気を打ち破って、なんとかそこに
余裕
(
ゆとり
)
をつけるつもりが、みんなに起こったのだろうけれども、葉子にとってはそれがそうは響かなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
姿見の前に、
長椅子
(
ソオフア
)
一脚、広縁だから、十分に
余裕
(
ゆとり
)
がある。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを吟味する
余裕
(
ゆとり
)
もないのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それだけの工作をする時間的の
余裕
(
ゆとり
)
なぞが、妻にはなかったであろうことは明白なことであったし、第一今夢から醒めたように佇んでいるあの冷静な妻の態度
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
豊後守といへば、江戸市中に
棄児
(
すてご
)
があれば、屹度拾つて養育した程の慈悲深い男だつたが、それでも時々は剽軽な
悪戯
(
いたづら
)
をして、友達を
調弄
(
からか
)
ふ程の心の
余裕
(
ゆとり
)
は持つてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
旅行をするためには、仕事の
余裕
(
ゆとり
)
をつけることが必要であつたけれど、それも当分望めさうもなかつた。彼は体を
虐
(
しひた
)
げてゐることを考へるだけでも、恐ろしいやうな気がしてゐた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
遊ぶ時は遊び
限
(
き
)
るのがむしろ男の
余裕
(
ゆとり
)
というものではございますまいか。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私達の味覚は嗅覚だの聴覚だのと一緒に
漸次
(
だん/″\
)
と
繊細
(
きやしや
)
に緻密になつて来たに相違ないが、其の一面にはお互の生活に殆ど
緩
(
ゆつく
)
り物を味ふといふ程の
余裕
(
ゆとり
)
が無くなつて、どうかすると
刺戟性
(
しげきせい
)
のもので
茸の香
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いくらか物を考える心の
余裕
(
ゆとり
)
がついて来たのも、一つの原因であろう。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
壺のやうに小さな茶室に有り余るほどゆつたりとした
余裕
(
ゆとり
)
と
沈静
(
おちつき
)
とを与へ、そこにゐる主客いづれもの気持に律動と諧調とを生みつけ、また日毎にめまぐるしくなりゆく現実の生活とは異つた
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
壺
(
つぼ
)
のやうに小さな茶室に有り余るほどゆつたりとした
余裕
(
ゆとり
)
と
沈静
(
おちつき
)
とを与へ、そこにゐる主客いづれもの気持に律動と諧調とを生みつけ、また日ごとにめまぐるしくなりゆく現実の生活とは
異
(
ちが
)
つた
侘助椿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“余裕”の解説
余裕
(出典:Wikipedia)
余
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
裕
常用漢字
中学
部首:⾐
12画
“余裕”で始まる語句
余裕綽々