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不為
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ふため
ふりがな文庫
“
不為
(
ふため
)” の例文
旧字:
不爲
そこで辞し度いは山々だったろうが、両人の仲悪きは天下にも
不為
(
ふため
)
であるという秀吉の言には、
重量
(
おもみ
)
が有って避けることが出来ぬ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
やぶれを取っては富田三家の恥辱、また
仮借
(
かしゃく
)
があっては新九郎の
不為
(
ふため
)
、いずれにしても正しき剣の優劣を明らかにせねばならぬ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かう云ふ場合にお目に掛るのは、
好々
(
よくよく
)
これは深い御縁なのであらうと考へるのですから、決して貴下方の
不為
(
ふため
)
に成るやうには取計ひません。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「あたしもね、いろいろ考へて居ますけど、あたしから申上げたつてもねえ。」お糸さんは客の
不為
(
ふため
)
の事となるといつもかう真面目であつた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
両親兄弟が同意でなんでお前に
不為
(
ふため
)
を勧めるか。先度は親の不注意もあったと思えばこそ、ぜひ斎藤へはやりたいのだ。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
是から一々お前に問うから何も彼も腹臓なく答えぬと返てお前の
不為
(
ふため
)
だよ女「はい心得ました」目科は判事の尋問する如く己れも先ず椅子に寄りて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「だが、待ってくれ。それにしちゃ、あの番頭は、あんまり自分に
不為
(
ふため
)
な証拠を
拵
(
こしら
)
え過ぎた。——それに、犬の足跡に血の付いていたのは、どう片付けるんだ」
銭形平次捕物控:061 雪の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もしまた毎晩の藪原通いが殿様の
不為
(
ふため
)
でございますなら、どうで身受けしたこの私を、お館へ差し出しくださりませ、きっと私がお殿様の機嫌を程よう取りまして
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
身は一定の国籍の
下
(
もと
)
にありて、
法律
(
ほうりつ
)
の保護を受け、もって生命財産の
安固
(
あんこ
)
を保ちながら、その国の
不為
(
ふため
)
を
謀
(
はか
)
るごときは、決して国民たる個人の
独立行為
(
どくりつこうい
)
といわれぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
勝は奸物?
鰹節
(
かつおぶし
)
は乾物という
洒落
(
しゃれ
)
だろう、勝だってなんだって、徳川家の禄を
食
(
は
)
みながら、徳川家の
不為
(
ふため
)
をはかる奴なんぞがあろうはずはないが、そこは時勢だ
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私がその日本人の使いをしたとかあるいはまた
謀事
(
はかりごと
)
を互いに通じてこの国の
不為
(
ふため
)
を謀ったとかいうような事で毎日調べられるけれども、私は
一向
(
いっこう
)
そんな事は知らない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
大目に見てお
上
(
あげ
)
なすって下さいまし。蔦吉さんも
仇
(
あだ
)
な気じゃありません。
決
(
け
)
して早瀬さんのお世帯の
不為
(
ふため
)
になるような事はしませんですよ。一生懸命だったんですから。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こういう場合に逃げ隠れをすると、かえって本人の
不為
(
ふため
)
になるばかりか、主人の三河屋にも迷惑をかける事になる。千太が姿を
晦
(
くら
)
ました為に、三河屋はいろいろの吟味をうけて、大迷惑をしました。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまり、その時代の人心に、司政者に
利
(
り
)
のある時には、法を枉げてもよい、と。天一坊の場合は、
明
(
あきら
)
かに、かかる者を御落胤として認める事は、天下人心によろしくも無く、御当代の為にも
不為
(
ふため
)
じゃ。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
殿さまには
不為
(
ふため
)
の老臣がたをお
纏
(
まと
)
めになったのです
日本婦道記:不断草
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、自分は末輩の端でも、平家の武士であることに気づくと、余り熱意を表にあらわしては、かえって頼朝の
不為
(
ふため
)
だし、この身も妙に疑われてはと
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流石
(
さすが
)
に検査官は慣て居るだけ静に制してイヤ
内儀
(
ないぎ
)
腹も立うが仕方が無い其様な事をするだけ
不為
(
ふため
)
だからと云ましたけれど女房は仲々聴きません
果
(
はて
)
は両の手に左右の戸を
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
精神的にしろ肉体的にしろ、あんまり重荷を担ぐことは、
不為
(
ふため
)
のように思われる。
銀三十枚
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「何と有仰います。お見舞に出ますのが、何で
私
(
わたくし
)
の
不為
(
ふため
)
になるのでございませう」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「あッ、何をなさるんです。そんなことをしちゃ、かえって旦那の
不為
(
ふため
)
だ」
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
所詮
(
しょせん
)
兵法修行のうちは、会うたとて、お互いの
不為
(
ふため
)
。
多艱
(
たかん
)
に
克
(
か
)
ち、忍苦を求め、自分を百難の谷そこへ捨ててみねば、その修行に光はついて来ないのだ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の
了簡
(
りようけん
)
はかう云ふのだから、必ず悪く取つてくれては困るよ、なう。私だとて
年効
(
としがひ
)
も無く事を好んで、
何為
(
なにし
)
に若いものの
不為
(
ふため
)
になれと思ふものかな。お前も
能
(
よ
)
く
其処
(
そこ
)
を考へて見てくれ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
畏敬
(
いけい
)
する友であり先輩である。数正の
不為
(
ふため
)
を意に介さないならば、事はかんたんだといえるが——極秘を前提として、四隣の
耳目
(
じもく
)
を
憚
(
はばか
)
ると、数正に会うことだけでも容易ではない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何をしようと三位卿の前へ出れば分る、じたばたするとそのほうたちの
不為
(
ふため
)
だぞ」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうした母を持ち、母の
訓
(
おし
)
えを
護符
(
ごふ
)
とする子が、なんで、主君のお
不為
(
ふため
)
を陣中で策しましょうや。……たとえ上将に対し、異議論争を云いたてましょうとも、胸に
二心
(
ふたごころ
)
はありません」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただの旅人にいたせ、かような
態
(
なり
)
を見れば、何かと眼をそばだてて行くに相違ない。万一、蜂須賀家の者と知られて、世間へ噂いたされては後日の
不為
(
ふため
)
であろう。とにかく、銀五郎の体を
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……これからも行こうとする
途
(
みち
)
は決まっているのです。ただそれが、武蔵さまの
不為
(
ふため
)
であったら——私が生きていてはあの方の幸福にならないのなら——私は自分を、どうかするほかないのです
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こういう女があってはいけないんですか。武蔵さまの
不為
(
ふため
)
なのですか」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「静かにおしよ、騒ぐとかえってお前のほうの
不為
(
ふため
)
だからね」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「オオ、善恵房どのからなれば、上人も、お気にかけられまい。月輪の老公のご奔走で、なにかと、護送のことまでも、ご寛大になってきたところ——ここでまた、法令にたてつくようなことが官へ聞こえては上人のお
不為
(
ふため
)
になるで」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
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不為合
不為態
不為故