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下座
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しもざ
ふりがな文庫
“
下座
(
しもざ
)” の例文
縁側からにじり込んで、
下座
(
しもざ
)
にズボンの膝を折目正しくかしこまったその紳士を見て、私はまた土地の新進歌人のひとりかと早合点をした。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
その隣りには、半年前に夫を
喪
(
うしな
)
ったというまだ
艶々
(
つやつや
)
しい未亡人だの、その
姪
(
めい
)
にあたるという若い女だのが
居流
(
いなが
)
れていた。帆村はひとり離れて
下座
(
しもざ
)
にいた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから残りのいま一側の炉端が、
下座
(
しもざ
)
・下郎座または
木尻
(
きじり
)
である。嫁は木尻筋からもらえという諺などもあって、一段と身分の低いものの坐席である。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
と云うので驚いて廻り縁から奥の座敷へ通し、茶煙草盆を出し、政七も出て参り
下座
(
しもざ
)
に坐り、
慇懃
(
いんぎん
)
に両手を突き
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
欣弥、不器用に
慌
(
あわただ
)
しく
座蒲団
(
ざぶとん
)
を直して、
下座
(
しもざ
)
に来り、無理に白糸を
上座
(
じょうざ
)
に直し、膝を正し、きちんと手をつく。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
弥三右衛門の
下座
(
しもざ
)
には、
品
(
ひん
)
の
好
(
い
)
い
笄髷
(
こうがいまげ
)
の老女が一人、これは横顔を見せたまま、時々涙を拭っていました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから
代
(
か
)
わる
代
(
が
)
わる
下座
(
しもざ
)
の
方
(
ほう
)
から、
一人一人
(
ひとりひとり
)
違
(
ちが
)
った
鬼
(
おに
)
が
立
(
た
)
ってきて、
同
(
おな
)
じように
踊
(
おど
)
りを
踊
(
おど
)
りました。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
(第一おら、
下座
(
しもざ
)
だちゅうはずぁあんまい、ふん、お
椀
(
わん
)
のふぢぁ欠げでる、油煙はばやばや、さがなの眼玉は白くてぎろぎろ、
誰
(
だ
)
っても
盃
(
さかずき
)
よごさないえい
糞
(
くそ
)
面白ぐもなぃ)
とっこべとら子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
低く、
下座
(
しもざ
)
についたのは、あながち、正成が悪くいんぎん過ぎるのでもなければ
卑下
(
ひげ
)
でもない。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本迹枢要
(
ほんじゃくすうよう
)
、
陀羅尼品
(
だらにぼん
)
の
読経
(
どきょう
)
がすんで、これから
献香花
(
けんこうか
)
の式に移ろうとするとき、
下座
(
しもざ
)
にいたひわという腰元が、とつぜん、あッと小さな叫び声をあげて顔を伏せてしまった。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
消防
頭
(
がしら
)
、青年会長、同幹事といったような、村でも
八釜
(
やかま
)
しい老若が一ダースばかり
下座
(
しもざ
)
に頑張って、所狭しと並んだ田舎料理を盛んにパク付いては、氏神様から借りて来た五合、一升
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その膳と並んだ、納戸よりの
上座
(
じょうざ
)
が、これも、今日の正客の産婆さんで、書院窓の方に、おしようばんの三太郎おじさんがすわりました。おじさんから
下座
(
しもざ
)
の方へならんで洋一とフミエ。
柿の木のある家
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ミラア先生は私の坐つた食卓の
下座
(
しもざ
)
に就いた。そして一人の見慣れない、外國人らしい年をとつた婦人——あとで佛蘭西語の先生だとわかつた——は別の食卓のおなじやうな下座についた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「アいや、そこは
下座
(
しもざ
)
。そこでは御挨拶もなり申さぬ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と言って幸内は
遥
(
はる
)
かの
下座
(
しもざ
)
から平伏しました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
越後では炉の片側の燃料置場を、タキジロまたはキジロという語がある。是が
炉辺
(
ろばた
)
の
下座
(
しもざ
)
を意味する
木尻
(
きじり
)
と混合して、
薪
(
まき
)
を置く所をキジリという例はまた多いのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すると
下座
(
しもざ
)
の
方
(
ほう
)
から、
一人
(
ひとり
)
の
若
(
わか
)
い
鬼
(
おに
)
が
立
(
た
)
ってきて、お
三方
(
さんぼう
)
の上に
食
(
た
)
べ
物
(
もの
)
をのせて、おそるおそるおかしらの
鬼
(
おに
)
の
前
(
まえ
)
へ
持
(
も
)
って出ました。そして
何
(
なに
)
かわけの
分
(
わ
)
からないことをしきりにいっているようです。
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
長崎屋の
下座
(
しもざ
)
にいるのが、西洋医学機械を輸入する
佐倉屋仁平
(
さくらやにへい
)
。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると
下座
(
しもざ
)
の
方
(
ほう
)
から
若
(
わか
)
い
鬼
(
おに
)
が、あずかっていた
瘤
(
こぶ
)
を
持
(
も
)
って出て
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
下座
(
しもざ
)
に並んで腹を切って見せた。
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
座
常用漢字
小6
部首:⼴
10画
“下座”で始まる語句
下座敷
下座触
下座語
下座先触
下座出方