トップ
>
一散
>
いっさん
ふりがな文庫
“
一散
(
いっさん
)” の例文
壁にかけてある制服を下ろすと、
手早
(
てばや
)
く
之
(
これ
)
に着換えました。それから
一散
(
いっさん
)
に家を飛び出して更けた真夜中の街路に走り出でました。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一散
(
いっさん
)
に浅吉のいた方向に向って
馳
(
は
)
せ出したのは、魂を失うたように、うろうろしていた浅吉が、今しも一本の木の枝を選んで
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
乞食同様の男に二十銭はちっと多過ぎると思ったが、云わるるままに
札
(
さつ
)
を
掴
(
つか
)
んでその店先へ駈けて行き、男の前に置くや
否
(
いな
)
や
一散
(
いっさん
)
に駈け出した。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は、部屋を飛びだすと背後に拳銃の音を聞きながら、もう応射する気力はなく、
莫迦
(
ばか
)
になった右腕をかかえ込んで闇の中を
一散
(
いっさん
)
に走っていた。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
一散
(
いっさん
)
に
遁
(
に
)
げもならず、
立停
(
たちど
)
まった
渠
(
かれ
)
は、馬の尾に油を塗って置いて、
鷲掴
(
わしづか
)
みの
掌
(
たなそこ
)
を
辷
(
すべ
)
り抜けなんだを
口惜
(
くちおし
)
く思ったろう。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
そういうふうにして、
何軒
(
なんげん
)
か廻って風呂敷にいっぱい米がたまると、猿はそれを抱えて、
一散
(
いっさん
)
に走り出しました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
すると影の男は、物をもいわず立上り、つと建物の蔭にかくれると、
一散
(
いっさん
)
ににげ出した様に思われます。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
矢野は元来
才気質
(
さいきしつ
)
の男でないから、少しの事にも大木に相談せねば気が済まないというふうであった。ことに今度は東京にいるのだから、
一散
(
いっさん
)
にやって来たのである。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
馬のみならず俺の
喉
(
のど
)
もとにも嘶きに似たものがこみ上げるのを感じた。この声を出しては大変である。俺は両耳へ手をやるが早いか、
一散
(
いっさん
)
にそこを逃げ出してしまった。……
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下僕はその書面と
出際
(
でしな
)
に私共が持って来たところの一通の書面——それには総管の印が捺してあります——とを持って、荷物はなし身軽ですから、
一散
(
いっさん
)
に走って
後戻
(
あともど
)
りをして行きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
一散
(
いっさん
)
に飛上って
件
(
くだん
)
の盗人を
噛倒
(
かみたお
)
し、尚お驚いて逃出そうとする一賊の
後
(
うしろ
)
から両手を
伸
(
のば
)
して
噛
(
かじ
)
り付き、あわや喰殺し兼まじき
見幕
(
けんまく
)
、山賊も
九死一生
(
きゅうしいっしょう
)
の場合ですから、持合しましたお町の短刀
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
遽
(
あわたゞ
)
しく
入来
(
いりきた
)
り何やらん目科の耳に
細語
(
さゝや
)
くと見る間に目科は顔色を変て身構し「
好
(
よ
)
し/\
直
(
すぐ
)
に行く、早く帰ッて皆に
爾
(
そう
)
云
(
い
)
え」と、命ずる間も
急
(
いそが
)
わしげなり、男は此返事を
得
(
う
)
るや又
一散
(
いっさん
)
に走去りしが
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
顔を見られるのが
厭
(
いや
)
さに、
一散
(
いっさん
)
に通りの方へと
遠
(
とおざ
)
かった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
辻斬も牢破りも今はさして米友の注意を
惹
(
ひ
)
くことがなく、ただムクの導くところに向って
一散
(
いっさん
)
に走るのみでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
猿
(
さる
)
はそういうものを風呂敷いっぱいもらいためると、また
一散
(
いっさん
)
にどこへともなく逃げ失せてしまいました。
キンショキショキ
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
縄付きの藤助をその儘にして、激しく斬って来る相手の刀の下を抜けつくぐりつ闘っていると、男はなんと思ったか、俄かに
刃
(
やいば
)
を引いて暗い坂の方角へ
一散
(
いっさん
)
に逃げ去った。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わたしは
浄厳寺
(
じょうごんじ
)
の裏へ来ると、
一散
(
いっさん
)
に甚内へ追いつきました。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は軽機をいきなり持ちあげると、
一散
(
いっさん
)
に走った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
砂煙
(
すなけむり
)
を上げて町の
方
(
かた
)
へ
一散
(
いっさん
)
に
遁
(
に
)
げたのである。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御用聞の小僧は丸くなって駈け出して、駒込七軒町の主人の店まで
一散
(
いっさん
)
に逃げて来ました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それから向うに何か見つけ、その方へ
一散
(
いっさん
)
に走って
行
(
ゆ
)
く。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一散
(
いっさん
)
に家へ飛んでいきました。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そうしておいて井村は、刀を抜きかけて来るかと思うと
一散
(
いっさん
)
に逃げ出してしまいました。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに驚いて、楊柳の蔭から
一散
(
いっさん
)
に飛び出して、河原を横一文字に走るものがある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お玉は縁側へ立ち上ってムクを呼びますと、しばらくして物を
唸
(
うな
)
りつけるムクの声、竹藪の中がガサガサすると見れば、そこから飛んで出たムクは、今度は
一散
(
いっさん
)
に木戸の方へと走りました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そうして、この日高郡をめざして
一散
(
いっさん
)
に安珍殿を追いかけたものだ」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで、この少年は、またも
一散
(
いっさん
)
に砂浜の上を走りつづけました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十津川の岸へ出て
一散
(
いっさん
)
に北へと
走
(
は
)
せ下る。
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かくて米友は、また
一散
(
いっさん
)
に走りました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
散
常用漢字
小4
部首:⽁
12画
“一散”で始まる語句
一散走
一散歩