“ひとしきり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
一時66.0%
一仕切8.0%
一陣8.0%
一頻6.0%
一瞬4.0%
一刹那2.0%
一区域2.0%
一画2.0%
一霎時2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
肩に懸けたる手をば放さでしきりゆすらるるを、宮はくろがねつちもて撃懲うちこらさるるやうに覚えて、安き心もあらず。ひややかなる汗は又一時ひとしきり流出ながれいでぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
一仕切ひとしきりつと、発作ほつさは次第におさまつた。あといつもの通りしづかな、しとやかな、奥行おくゆきのある、うつくしい女になつた。眉のあたりが殊にはれ/″\しく見えた。其時代助は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一陣ひとしきり大きな雪片せっぺんが風にあおられてたんぼの方から走って来た、立っている自分の胸はたちまち白壁のように真白になった。たださいわいに大きな吹雪はこれりで後は少し晴間となった。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先ずこのがやがやが一頻ひとしきりむとお徳は急に何か思い出したようにたって勝手口を出たが暫時しばらくして返って来て、妙に真面目まじめな顔をして眼をまるくして
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それとても一瞬ひとしきりで、刀身はまたもや白く輝き、柄で蔽われていた茅野雄の額の、陰影かげさえ消えてきょのような眼が、眼前数間の彼方あなた群立むらだち、刀の切っ先を此方こなたへ差し向け、隙があったら一斉に寄せて
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白縮緬の一群は、気を呑まれて一刹那ひとしきり静まったが、権を笠に着て盛り返した。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
星明りにうつすりと浮んだ阿寒山あかんざんの雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、川向かはむかひ一区域ひとしきり燈光ともしびを群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗をつんざいた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ふと一等墓地の中に松桜を交え植えたる一画ひとしきり塋域はかしょの前にいたり、うなずきて立ち止まり、かきの小門のかんぬきうごかせば、手に従って開きつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
室外の空気に頭をさらしていた所為せいか、重かった頭も大分にかろすずしくなって、胸もほどくつろいで来たから、そのまま枕に就いて一霎時ひとしきりうとうとと眠ったかと思う間もなく
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)