一仕切ひとしきり)” の例文
「そう急に生れるもんじゃないだろうな、子供ってものは。一仕切ひとしきり痛んではまた一仕切治まるんだろう」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一仕切ひとしきりつと、発作ほつさは次第におさまつた。あといつもの通りしづかな、しとやかな、奥行おくゆきのある、うつくしい女になつた。眉のあたりが殊にはれ/″\しく見えた。其時代助は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
梅が咲くにつけて寒い風は段々むきを南へえて行った。それが一仕切ひとしきりつと、桜のうわさがちらほら私の耳に聞こえ出した。それでも私は馬車馬のように正面ばかり見て、論文にむちうたれた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其日そのひかぜもなく一仕切ひとしきりつたが、うちにゐると底冷そこびえのするさむさにおそはれるとかつて、御米およねはわざ/\置炬燵おきごたつ宗助そうすけ着物きものけて、それを座敷ざしき眞中まんなかゑて、をつとかへりをけてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)